【第55回】学科一般・問題10(2021年1月試験)

成層圏突然昇温について述べた次の⽂章の空欄(a)〜(c)に⼊る語句の組み合わせとして適切なものを,下記の①〜⑤の中から1 つ選べ。

北半球では,(a)は通常,成層圏から中間圏の北極周辺は低気圧になり,北半球⾼緯度では⻄⾵が卓越している。成層圏突然昇温は,この季節に北極周辺の成層圏を中⼼に気温が短期間に急激に上昇する現象である。この現象は (b)により励起されたプラネタリー波の伝搬が原因となっており,地衡⾵平衡の状態が崩れて⽣じた下降流による断熱圧縮で引き起こされる気温の上昇は (c) ほど早く始まる。

  (a) (b) (c)
寒候期 電離層の変動 下層
寒候期 地形等の効果 上層
寒候期 地形等の効果 下層
暖候期 地形等の効果 下層
暖候期 電離層の変動 上層
答え
② 寒候期 地形等の効果 上層
成層圏突然昇温とは

成層圏

対流圏より上にある、高度10km~50kmほどの範囲を成層圏といいます。

成層圏の特徴

  • 高度とともに気温が上昇
  • オゾン濃度が高い
  • 水蒸気がほとんどないため雲は発生しない
  • 冬季の南極で「極域成層圏雲」が発生することはある
  • 「突然昇温」「準2年振動」「極渦の形成」が起こる

成層圏突然昇温

成層圏突然昇温とは、冬の北半球で、高緯度の成層圏の気温が急上昇する現象です。

約1週間以内に25℃以上も上昇します。

成層圏突然昇温が起こる原因は、対流圏のプラネタリー波(地球規模の波)です。

プラネタリー波が増幅して成層圏へ伝播することで、気温が上がります。

ちなみに、北半球はヒマラヤ山脈やロッキー山脈などの大きな山脈があるのでプラネタリー波が成層圏に伝搬しますが、南半球は海ばかりで地形の変化が大きくないため、成層圏突然昇温は起こりにくいです。(気象庁HP

■参考
成層圏突然昇温(中村健治)
天気の科学(8) 成層圏突然昇温(山崎孝治)
今年(1994年)の成層圏突然昇温の予報から(岩崎俊樹)

解説 (a)について
「北半球では,(a)は通常,成層圏から中間圏の北極周辺は低気圧になり,北半球⾼緯度では⻄⾵が卓越している。」

(a)は寒候期です。

寒候期の東西風を見てみましょう。

下図は1月の東西風の平年値です。北半球の⾼緯度(北緯60~90°くらい)を見てみると、「⻄⾵が卓越」していることがわかります。

帯状平均東西風平年値の高度・緯度断面図

気象庁HPの図を加工)

ちなみに暖候期(7月)の東西風を見てみると、北半球の⾼緯度では高度1000~50hPaは西風ですが、高度50~10hPaは東風になっています。

帯状平均東西風平年値の高度・緯度断面図

気象庁HPの図を加工)

よって(a)は寒候期です。

解説 (b)について
「この現象(=成層圏突然昇温)は (b)により励起されたプラネタリー波の伝搬が原因となっており,」

(b)は地形等の効果です。

成層圏突然昇温は対流圏のプラネタリー波が原因で起こります。

地形の効果によってプラネタリー波が成層圏に伝搬することで「成層圏突然昇温」が起こるので、(b)は「地形等の効果」が正解です。

解説 (c)について
「地衡⾵平衡の状態が崩れて⽣じた下降流による断熱圧縮で引き起こされる気温の上昇は (c) ほど早く始まる。」

(c)は上層です。

実際に成層圏突然昇温が起きたときの気温グラフを見てみると、15hPaの気温上昇は2月21日から始まっていますが、25hPaの気温上昇は2月25日から始まっていることが読み取れます。

15hPaと25hPaを比べると、15hPaのほうが上層なので、気温の上昇は上層ほど早く始まることがわかります。

成層圏突然昇温の図

一般気象学(小倉義光,p.260)

<< 前の問題

次の問題 >>

-【第55回】2021年1月試験
-

Copyright© 気象予報士試験ドットコム , 2022 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.