【第50回】2018年8月試験

【第50回】学科専門・問題8(2018年8月試験)

 総観規模の⾼・低気圧について述べた次の⽂(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の①〜⑤の中から⼀つ選べ。

  1. (a) 冬季シベリア⽅⾯に現れる⾼気圧は,下層から上層まで寒冷な空気で満たされており,⾼気圧の圏内では広範囲で寒冷な気塊の沈降による下降流が⾒られる。

  2. (b) 発達中の低気圧の後⾯では,下層への強い寒気の流⼊によって層厚が減少し,500hPa など中層における⾼度が下降する⼀⽅,地上の気圧は上昇する。

  3. (c) ⼀般に,切離低気圧の中⼼付近の気温は,対流圏では周囲に⽐べて低く,圏界⾯より上では周囲に⽐べて⾼い。

(a) (b) (c)
答え
④ 誤 正 正
解説 (a)について
「冬季シベリア⽅⾯に現れる⾼気圧は,下層から上層まで寒冷な空気で満たされており,⾼気圧の圏内では広範囲で寒冷な気塊の沈降による下降流が⾒られる。」

これはです。

冬季シベリア⽅⾯に現れる⾼気圧(シベリア高気圧)は、冷たい空気が地表付近にたまることによって発生する背の低い高気圧です。

よって「下層から上層まで(=背の高い)」は誤りです。

解説 (b)について
「発達中の低気圧の後⾯では,下層への強い寒気の流⼊によって層厚が減少し,500hPa など中層における⾼度が下降する⼀⽅,地上の気圧は上昇する。」

これはです。

層厚とは、ある空気層の厚さのことです。

層厚は空気の温度によって変わります。

  • 冷たい空気(=寒気)は空気が圧縮される→層厚が薄い
  • 暖かい空気(=暖気)は空気が膨張される→層厚が厚い

発達中の低気圧の後⾯では、下層に強い寒気が入ることで層厚が減少していきます。

層厚が減少すると500hPa高度なども下がるようになります。

空気が圧縮されるので、地上の気圧は高くなります

よって(b)は正しいです。

解説 (c)について
「⼀般に,切離低気圧の中⼼付近の気温は,対流圏では周囲に⽐べて低く,圏界⾯より上では周囲に⽐べて⾼い。」

これはです。

切離低気圧は、偏西風波動が大きくなって寒気の部分が切り離されて低気圧になったものです。

そのため中⼼付近の気温は低くなります。

気温が低いと空気が圧縮されるため、対流圏界面の高度は下がります

よって対流圏界面のすぐ上にある成層圏の高度も下がります。

このとき、空気が下降することで断熱圧縮が起きて、周囲より気温の高いところができます。

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