【第53回】2020年1月試験

【第53回】学科専門・問題7(2020年1月試験)

北半球の寒冷低気圧の⼀般的な特徴について述べた次の⽂(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

  1. (a) 寒冷低気圧は強い温度傾度をもつ温暖前線と寒冷前線を伴うことが多い。

  2. (b) 寒冷低気圧は,地上では低気圧性循環は弱く,低気圧が解析されないこともあるが,対流圏中層や上層の天気図では低気圧性循環が明瞭である。

  3. (c) 寒冷低気圧の中⼼付近では,対流圏界⾯が⼤きく下がり,その上では周囲に⽐べて気温が低くなっている。

  4. (d) 夏季に寒冷低気圧が⽇本付近に東進してくると,その東側から南東側にかけて成層が不安定になり,積乱雲が発達することが多い。

  (a) (b) (c) (d)
答え
⑤ 誤 正 誤 正
解説 (a)について
「寒冷低気圧は強い温度傾度をもつ温暖前線と寒冷前線を伴うことが多い。」

これはです。

寒冷低気圧は上空に寒気を伴った低気圧です。偏西風が蛇行して、偏西風の流れから切り離された低気圧で、温暖前線や寒冷前線は伴いません。

温暖前線や寒冷前線を伴うのは温帯低気圧です。

解説 (b)について
「寒冷低気圧は,地上では低気圧性循環は弱く,低気圧が解析されないこともあるが,対流圏中層や上層の天気図では低気圧性循環が明瞭である。」

これはです。寒冷低気圧は上層にできる低気圧なので、地上では低気圧が解析されないこともあります。

解説 (c)について
「寒冷低気圧の中⼼付近では,対流圏界⾯が⼤きく下がり,その上では周囲に⽐べて気温が低くなっている。」

これはです。

寒冷低気圧の中⼼付近では対流圏界⾯が⼤きく下がっていますが、その上では周囲に⽐べて気温が高くなっています。

上層寒冷低気圧

上層寒冷低気圧(UCL)の切離過程・南東側の対流雲と上昇流の構造(図2(a))
(坂本圭、高橋正明)※色がついている部分は加筆

解説 (d)について
「夏季に寒冷低気圧が⽇本付近に東進してくると,その東側から南東側にかけて成層が不安定になり,積乱雲が発達することが多い。」

これはです。

寒冷低気圧の東~南東側は、下層では南よりの風で暖湿気が流入し、上・中層では寒気となっているため、大気が不安定になります。

さらに中層の正渦度移流に伴い、下層で上昇流が起こりやすくなります。

よって寒冷低気圧の東~南東側では、積乱雲などの対流雲が発達することが多くなります。

赤外画像(上段)と 850hPa 相当温位・風(下段)

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