「中高緯度の傾圧大気では,鉛直方向に地衡風のシアーが存在する。」
これは正です。傾圧大気と地衡風の説明から解説していきます。
傾圧大気
傾圧大気とは「等温面と等圧面が交わる大気」です。
地球の気温の断面図を見ると、気温の南北経度は中緯度で大きく、高緯度でちょっと大きく、低緯度で小さいです。

等温線と等圧面を合わせて模式的に描くと、以下のようになります。

交わる角度は違いますが、高緯度、中緯度、低緯度ともに等圧面と交わります。(上図では低緯度の等温線と等圧線がほぼ平行に見えますが、、、実際は交わります。)
このように等温面と等圧面が交わる大気を「傾圧大気」と呼んでいて、基本的に地球大気はすべて傾圧大気です。
地衡風
地衡風とは、気圧傾度力にコリオリ力の影響を加味した風です。
- 気圧傾度力=高気圧から低気圧に向かって働く力
- コリオリ力=地球の自転によって働く力
気圧傾度力とコリオリ力がバランスして吹く風が地衡風です。

最後に「傾圧大気では鉛直方向に地衡風のシアーが存在する」について解説します。
ポイントは地衡風のところで出てきた気圧傾度力です。第51回学科一般の問1で示したように、上層ほど気圧傾度力は大きくなります。

気圧傾度力が大きくなると地衡風が大きくなるので、上層ほど地衡風が大きくなることがわかります。
よって鉛直方向に地衡風のシアー(=風速の差)が存在します。