【第53回】2020年1月試験

【第53回】学科一般・問題3(2020年1月試験)

東西風の高度-緯度断面図について述べた次の文章の空欄(a)~(c)に入る適切な語句の組み合わせを,下記の①~⑤の中から1 つ選べ。

 図は,経度平均した(a)における東西風の高度-緯度断面図である。この図に対応する温度風の関係から,南半球中緯度の高度20~60kmでは南極側ほど(bであると推測される。この高度で南極側ほど(b)であるのは,(c)が大きいためである。

  (a) (b) (c)
1月 高温 オゾンの紫外線吸収に伴う加熱
1月 高温 下降流による断熱昇温
1月 低温 上昇流による断熱冷却
7月 低温 上昇流による断熱冷却
7月 高温 オゾンの紫外線吸収に伴う加熱
答え
① 1月 高温 オゾンの紫外線吸収に伴う加熱
参考 中層大気の温度と東西風(1月)

(東京大学気象学研究室より引用して加工)

参考 中層大気の温度と東西風(7月)

(東京大学気象学研究室より引用して加工)

解説 (a)について
「図は,経度平均した(a)における東西風の高度-緯度断面図である。」

正解は1月です。

「東西風の高度-緯度断面図」というと、左側が南半球、右側が北半球の図を見ることが多いかもしれません。しかし今回の問題では、左側が北半球、右側が南半球です。

問題の図より、
・左側(北半球)は白色なので、西風が吹いている
・右側(南半球)は陰影がついているため、東風が吹いている
ことが分かります。

温度風の関係より、北半球では高温域が右側になるように風が吹きます。
よって北半球で西風が吹いているとき、南半球側が高温になるので、南半球は夏です。
そのため1月が正解です。

解説 (b)について
「この図に対応する温度風の関係から,南半球中緯度の高度20~60kmでは南極側ほど(b)であると推測される。」

正解は高温です。(a)で解説した通りです。

解説 (c)について
「この高度で南極側ほど高温であるのは,(c)が大きいためである。」

正解はオゾンの紫外線吸収に伴う加熱です。

高度20~60kmはだいたい成層圏です。成層圏で南極側ほど高温になる理由を考えます。

(a)より、今回の問題では南半球が「夏半球」です。
夏半球の極域では、1日を通して太陽が沈まない「白夜」が起こり、入射する太陽エネルギーが多くなります。(白夜の詳しい解説はこちら(NHK for School)がわかりやすかったです。)

成層圏にはオゾン層が存在し、オゾン層は太陽放射に含まれる紫外線を吸収・加熱する性質があります。

よって夏半球の成層圏では、南極側ほど太陽放射量が多くなり、太陽放射に含まれる紫外線をオゾン層が吸収して加熱するため、高温になります。

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