【第50回】学科専門・問題11(2018年8月試験)

 台⾵について述べた次の⽂(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の①〜⑤の中から⼀つ選べ。

  1. (a) 台⾵が発⽣するのは主に海⾯⽔温が26〜27℃以上の海域で,⾚道に近いほど発⽣数は多くなる。

  2. (b) 台⾵の平年値によると,台⾵の⽇本への接近数と上陸数は,ともに8⽉が最も多い。

  3. (c) 台⾵は,⽔蒸気が凝結する際に放出される熱により発達する。

  4. (d) 発達している台⾵の中⼼付近では,対流圏の下層から上層まで気温が周囲よりも⾼い。そのため静⼒学平衡の関係から,台⾵の中⼼付近で気圧が低くなっている。

(a) (b) (c) (d)
答え
③ 誤 正 正 正
解説 (a)について
「台⾵が発⽣するのは主に海⾯⽔温が26〜27℃以上の海域で,⾚道に近いほど発⽣数は多くなる。」

これはです。

⾚道に近いところではコリオリ力が働かないため、台風の発生数は少なくなります

台風が発生するためには、風が渦を巻く必要があります。

地球上ではコリオリ力が働いているため、風が曲げられて渦を巻くようになりますが、赤道付近はコリオリ力が非常に小さいため、風が渦を巻きにくいです。

実際に過去の台風(&ハリケーン&サイクロン)の経路図を見てみると、赤道付近の北緯5°~南緯5°あたりでは、台風は発生していないことがわかります。

解説 (b)について
「台⾵の平年値によると,台⾵の⽇本への接近数と上陸数は,ともに8⽉が最も多い。」

これはです。

台⾵の平年値を見てみると、接近数と上陸数は8⽉が最も多くなっています。

※接近数の平年値は「8月・9月が同率1位」になっていますが、上図は1991年~2020年の30年平均です。
試験が実施された2018年は、1981年~2010年の平均値が使われていました。
1981年~2010年の平均値では、接近数は「8月3.4個、9月2.9個」でした。

解説 (c)について
「台⾵は,⽔蒸気が凝結する際に放出される熱により発達する。」

これはです。

熱帯の海上にある程度、発達した低気圧があるとき、低気圧に向かって反時計回りに風が吹き込みます。

このとき、海上にある空気が吹き込むため、この空気には水蒸気がたくさん含まれています

低気圧の中心に集まった湿潤な空気は、強制的に上昇気流になります。

水蒸気をたくさん含んだ空気が上空に持ち上がるので、すぐに凝結が始まり、雲粒や雨粒を生成します。

凝結に伴って潜熱が放出され、台風中心部の上空の空気は暖められて軽くなります。

すると中心付近の気圧が低下し、台風中心へ向かう空気の流れが強まって、台風は発達・維持されます。

CISKのしくみ

(図解 台風の科学(上野充,山口宗彦)p.83)

※CISK…「第二種条件付き不安定」。台風発達に関する概念。大きなスケールの"台風"と、比較的小さなスケールの"積乱雲"が、互いに相手の活動を強めながら発達していく、という考え。

解説 (d)について
「発達している台⾵の中⼼付近では,対流圏の下層から上層まで気温が周囲よりも⾼い。そのため静⼒学平衡の関係から,台⾵の中⼼付近で気圧が低くなっている。」

これはです。

飛行機観測で得られたハリケーンの気温分布を見てみると、以下のようになります。

台風の暖気核

(図解 台風の科学(上野充,山口宗彦)p.50)

上図より、台⾵の中⼼付近では気温が高くなっていることがわかります。

静⼒学平衡の関係から、

・ΔP = −ρ × g × ΔZ(静⼒学平衡の関係)
 ⇒ 気圧Pは、密度ρ(ロー)に比例する
 ⇒ 密度が小さくなると、気圧が低くなる。
・気温が⾼くなると空気は膨張するので、密度は小さくなる。

⇒ 気温が高い → 空気が膨張して密度は小さくなる → 気圧が低くなる

ということが成り立つので、(d)はです。

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