気象予報士試験ドットコム

気象予報士・防災士です。気象会社で働いています。自分の勉強のため&気象予報士試験に挑戦する人の参考になればと思ってサイトを作りました。

大気の力学 気象の知識

層厚【大気の力学】

等高度線と層厚 「層厚」とは、ある空気層の厚さです。 層厚は空気の温度によって変わります。 ここで、同じ重さで温度が異なる2つの空気の高度を考えます。 冷たい空気(=寒気)は空気が圧縮されているので、体積が小さくなります。 一方、暖かい空気(=暖気)は空気が膨張しているので、体積が大きくなります。 以上より、高層天気図では 寒気側では高度が低い 暖気側では高度が高い ことがわかります。

大気の力学 気象の知識

高度と気圧【大気の力学】

等高度線と等圧線 等高度線と等圧線の対応を考えていきます。 A地点、B地点、C地点において、高度5100m、5000m、4900mの気圧を測ります。測った結果は表の通りです。これを気圧軸と高度軸にわけて書いてみます。 気圧軸 高度軸 気圧軸のある面(ここでは500hPa等圧面)と高度軸のある面(ここでは5000m等高度面)を比較します。 よって高層天気図では 等高度線の数字が小さい(=高度が低い)ところは低気圧 等高度線の数字が大きい(=高度が高い)ところは高気圧 だとわかります。

大気の力学 気象の知識

静力学と非静力学【大気の力学】

静力学と非静力学 鉛直方向に運動がない状態を静力学平衡(静水圧平衡)といいます。 天気の変化は対流圏内で起こることがほとんどなので、鉛直方向の範囲は約10kmです。 一方、高気圧や低気圧などの現象では、水平方向の範囲は数百~数千kmです。よって今日や明日の天気予報は、鉛直方向の運動を無視しても精度よく予報できます。 一方、積乱雲など規模の小さい現象を予測するためには、鉛直方向の運動は無視できません。 積乱雲の大きさは鉛直方向に約10km、水平方向に数km~10kmです。 また時間スケールも1時間程度と短い ...

気象の知識 降水過程

併合過程【降水過程】

終端速度 水滴は重力の影響を受けて、はじめは加速しながら落下します。 加速の度合いは水滴の大きさや質量に関係なく一定で、これを重力加速度と呼びます。 また、水滴は落下するときに空気の抵抗を受けます。 水滴はある程度の所まで加速して落下すると、重力と空気抵抗力がつり合うようになり、それ以上は加速しないで一定の速さで落ちていくようになります。 このときの速さが終端速度です。 水滴の終端速度を計算すると以下のようになります。 終端速度Vは水滴の半径rの2乗に比例します。 よって水滴の終端速度は水滴が大きいほど速 ...

気象の知識 降水過程

凝結過程【降水過程】

凝結過程による雲粒の成長 空気中に凝結核があると、それを核にして雲粒ができます。 凝結核は水を吸収しやすい性質があるので、空気中の水分を吸収して表面に水の膜を作ります。 小さい水滴の場合は表面張力が強くなりますが、「凝結核+水の膜」はある程度の大きさがあるので、表面張力が弱くなって水蒸気が結合しやすくなります。 凝結核を元にして雲粒が生成し、雲が作られるようになると、凝結過程によって雲粒が成長します。 成長過程を式で表すと以下の通りです。 単位時間当たりの半径の増加量(dr/dt)は半径rに反比例すること ...

気象の知識 降水過程

過飽和と表面張力【降水過程】

過飽和 水蒸気(=気体)を含んだ空気の温度を下げていくと、空気が飽和に達します。 空気が飽和すると、水蒸気が凝結して水滴(=液体、雲粒や雨粒)が⽣成されます。 しかし空気が飽和したあとも、空気が含むことのできる水蒸気量を超えて水蒸気が存在することがあります。 この状態が過飽和です。 飽和のときが湿度100%なので、過飽和では湿度100%を超えています。 どのくらい超えているかを表したのが過飽和度です。 例えば、ある空気の相対湿度が110%の場合、過飽和度は10%になります。 過飽和が起こる原因は表面張力で ...

気象の知識 降水過程

エーロゾルと凝結核【降水過程】

エーロゾル 空気中に漂う小さな微粒子をエーロゾルといいます。 エーロゾルは大きさによって3種類に分けられます。 ちなみに、雲粒や雨粒はエーロゾルより大きく、「巨大核 < 雲粒 < 雨粒」です。 エーロゾルの起源には、例えば以下のものがあります。 土ぼこり(風によって巻き上げられる) 火山ガス(火山の噴火活動による) 工場や自動車の排気ガス(人間活動に伴う) 塩の結晶(海のしぶき) 花粉(生物由来の粒子) 煙(火災や野焼きによる) 凝結核 水蒸気が凝結するための核となるエーロゾルを凝結核といいます。 空気中 ...

【第52回】2019年8月試験

【第52回】実技1・問1(5)(2019年8月試験)

XX年9⽉9⽇から10⽇にかけての⽇本付近における気象の解析と予想に関する以下の問いに答えよ。予想図の初期時刻は,図10は8⽇21時(12UTC),図12は9⽇0時(8⽇15UTC),その他はいずれも9⽇9時(00UTC)である。 問1.図1は地上天気図,図2は500hPaおよび850hPaの天気図,図3は気象衛星画像であり,時刻はいずれも9⽇9時である。また,図4は9⽇12時の地上実況図である。これらを⽤いて,以下の問いに答えよ。 (5) 図4は台⾵周辺の地上実況図であり,気圧および⾵の観測値および10 ...

【第52回】2019年8月試験

【第52回】実技1・問1(4)(2019年8月試験)

XX年9⽉9⽇から10⽇にかけての⽇本付近における気象の解析と予想に関する以下の問いに答えよ。予想図の初期時刻は,図10は8⽇21時(12UTC),図12は9⽇0時(8⽇15UTC),その他はいずれも9⽇9時(00UTC)である。 問1.図1は地上天気図,図2は500hPaおよび850hPaの天気図,図3は気象衛星画像であり,時刻はいずれも9⽇9時である。また,図4は9⽇12時の地上実況図である。これらを⽤いて,以下の問いに答えよ。 (4) 図3を⽤いて,本州付近の台⾵の中⼼から半径500km程度の範囲に ...

【第52回】2019年8月試験

【第52回】実技1・問1(2)(2019年8月試験)

XX年9⽉9⽇から10⽇にかけての⽇本付近における気象の解析と予想に関する以下の問いに答えよ。予想図の初期時刻は,図10は8⽇21時(12UTC),図12は9⽇0時(8⽇15UTC),その他はいずれも9⽇9時(00UTC)である。 問1.図1は地上天気図,図2は500hPaおよび850hPaの天気図,図3は気象衛星画像であり,時刻はいずれも9⽇9時である。また,図4は9⽇12時の地上実況図である。これらを⽤いて,以下の問いに答えよ。 (2) 図1,図2(上)を⽤いて,本州付近にある500hPaの低気圧中⼼ ...