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凝結だけでは雲粒はなかなか雨粒になりません。そこで大切なのが、水滴どうしがぶつかってくっつく併合過程です。この記事では、水滴の落ちる速さ(終端速度)から、衝突・併合のしくみ、暖かい雨と冷たい雨のちがいまでを説明します。
この記事のポイント
- 終端速度は、重力と空気抵抗がつり合ったときの一定の落下速度です。
- 小さな水滴の終端速度はストークスの式 V=2ρgr²/(9η) で表され、雨粒では約9m/sで頭打ちになります。
- 落ちる速さの差で大きな水滴が小さな水滴にぶつかってくっつき、大きさが不ぞろいなほど成長が速くなります。
終端速度とは
水滴が落ち始めると、重力によってだんだん速くなります。一方、空気抵抗は落ちる速さが大きいほど大きくなります。やがて重力と空気抵抗がつり合うと、それ以上は速くならず、一定の速さで落ちるようになります。この速さを終端速度といいます。

小さな水滴の終端速度(ストークスの式)
半径がおよそ30μm以下の小さな水滴では、終端速度は次のストークスの式で表されます。
V = 2ρgr² / (9η)
- V:終端速度
- ρ:水の密度
- g:重力加速度
- r:水滴の半径
- η:空気の粘性係数(空気のねばりけ)
終端速度は半径の2乗に比例します。半径が2倍になれば、終端速度は4倍です。半径10μmの雲粒の終端速度は約1cm/sで、とてもゆっくり落ちます。雲粒がなかなか落ちてこないのはこのためです。
実際に計算してみましょう。ρ=1000kg/m³、g=9.8m/s²、r=1×10⁻⁵m(10μm)、η=約1.8×10⁻⁵Pa·s を入れると、V=2×1000×9.8×(1×10⁻⁵)²÷(9×1.8×10⁻⁵)≒0.012m/s となり、約1cm/sです。
大きな水滴の終端速度
ストークスの式が成り立つのは、小さな水滴だけです。水滴が大きくなると空気抵抗の性質が変わり、終端速度の増え方はにぶくなります。さらに大きな雨粒は、空気抵抗で下側が平らにつぶれた形になります。
その結果、雨粒の終端速度は約9m/sで頭打ちになります。また、あまりに大きくなった雨粒は、落ちる途中で分裂してしまいます。

衝突・併合のしくみ
雲の中に大きさのちがう水滴があると、大きな水滴は速く、小さな水滴はゆっくり落ちます。この落ちる速さの差によって、大きな水滴が下にある小さな水滴に追いついてぶつかります(衝突)。ぶつかった水滴がくっついて1つになることを併合といいます。
ただし、小さな水滴がすべてぶつかるわけではありません。大きな水滴のまわりを流れる空気にのって、よけてしまう粒もあります。特に小さすぎる粒はよけやすいので、併合が効率よく進むには、目安として半径20μmくらいより大きな水滴がある程度ふくまれていることが必要です。

不ぞろいなほど速く育つ
大小の差が大きいほど落ちる速さの差も大きくなり、衝突しやすくなります。また、大きな水滴ほど速く落ちて多くの粒を取りこむので、大きくなるほど成長が速くなります。これは、大きくなるほど成長が遅くなる凝結過程とは反対の性質です。
凝結過程で雲粒くらいの大きさまで育ち、その中に少し大きな水滴ができると、そこから併合過程で一気に雨粒まで成長します。海塩粒子のような大きな凝結核(巨大核)は、この「少し大きな水滴」のもとになります。
暖かい雨と冷たい雨
雨のでき方は、氷がかかわるかどうかで大きく2つに分けられます。
- 暖かい雨:氷の粒を経ずに、凝結と衝突・併合だけでできる雨。熱帯の背の低い雲など、雲全体が0℃より高い場合に多く見られます。
- 冷たい雨:雲の上部の0℃より低い所で氷の粒が育ち、雪などになって落ち、とちゅうでとけて雨になるもの。日本など中緯度の雨の多くは冷たい雨です。
冷たい雨で大切なのがベルジェロン過程(ベルジェロン・フィンダイセン過程)です。同じ温度では、氷に対する飽和水蒸気圧は水に対する値より低くなります。そのため、過冷却水滴と氷晶がまざった雲の中では、水滴が蒸発し、その水蒸気が氷晶にくっついて(昇華して)氷晶だけが速く成長します。

まとめ
- 終端速度は、重力と空気抵抗がつり合ったときの一定の落下速度です。
- 半径約30μm以下の小さな水滴では、ストークスの式 V=2ρgr²/(9η) により終端速度は r² に比例します。
- 大きな水滴では終端速度の増え方がにぶり、雨粒では約9m/sで頭打ちになります。
- 落ちる速さの差で衝突・併合が起こり、大きさが不ぞろいなほど、また大きくなるほど成長が速くなります。
- 氷を経ない暖かい雨に対し、冷たい雨ではベルジェロン過程で氷晶が育ち、雪がとけて雨になります。
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