【第55回】2021年1月試験

【第55回】学科一般・問題7(2021年1月試験)

 図は北半球の同じ緯度にある地点A,地点B,地点Cそれぞれの850hPaと700hPaの⾼度の⾵について,横軸uを東⻄⽅向の東向き成分,縦軸vを南北⽅向の北向き成分としてベクトルで⽰したものである。
 この図について述べた次の⽂(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の①〜⑤の中から1つ選べ。ただし,⾵は地衡⾵とし,850hPaから700hPaにかけての⾵向の変化は180°以内とする。

(a) 地点Aでは,850hPaで地点B,Cに⽐べ最も⽔平気圧傾度⼒が⼤きい。

(b) 地点Bでは,850hPaと700hPaの間の平均気温は⽔平移流により上昇傾向にある。

(c) 地点Cでは,850hPaから700hPaにかけて寒気移流場である。

(d) 地点A〜Cのうち,850hPaと700hPaの間の平均気温の⽔平傾度が最も⼤きいのは地点Aである。

  (a) (b) (c) (d)
答え
③ 正 誤 正 誤
解説 (a)について
「地点Aでは,850hPaで地点B,Cに⽐べ最も⽔平気圧傾度⼒が⼤きい。」

これはです。

まず、問題文に出てくる「気圧傾度⼒」と「地衡風」について見ていきます。

それぞれの詳細は以下の記事にまとめていますので、ご参考ください。

地衡風【大気の力】

地衡風 「気圧傾度力にコリオリ力の影響を加味した力」を地衡風といいます。 気圧傾度力=高気圧から低気圧に向かってはたらく力 コリオリ力=地球の自転によってはたらく力 静止している空気には気圧傾度力がは ...

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問題文より、図の矢印で表されている風は地衡風です。

地衡風は、気圧傾度力とコリオリ力がバランスをとって吹く風です

そのため「(気圧傾度力)=(コリオリ力)」となります。

「(コリオリ力)= 地衡風の風速V × コリオリパメータf」なので、

(気圧傾度力)= 地衡風の風速V × コリオリパメータf

⇔ 地衡風の風速V =(気圧傾度力)× 1/f

となって、地衡風の風速と気圧傾度力は比例することがわかります。

ここから問題に戻ります。

問題(a)は、地点A,B,Cの気圧傾度⼒を比較する問題です。

地衡風の風速と気圧傾度力は比例するので、問題の図より、地衡風の風速の大きさを比較していきます。

矢印の長さは風速を表わすので、

矢印が長い=地衡風の風速が大きい

といえます。

矢印の長さを比較すると、地点Aの矢印が最も長いです。

よって「地点Aでは,850hPaで地点B,Cに⽐べ最も⽔平気圧傾度⼒が⼤きい。」はとなります。

解説 (b)について
「地点Bでは,850hPaと700hPaの間の平均気温は⽔平移流により上昇傾向にある。」

これはです。

「平均気温は⽔平移流により上昇傾向にある」とは、「水平移流によって、気温が上がる」という意味です。

水平移流には暖気移流と寒気移流があります。

気温が上がるときは暖気移流です。

よって問題(b)の意味は「地点Bでは暖気移流??」です。

850hPaと700hPaの風向きの違いは温度風として表現されます。

温度風については以下の記事にまとめていますので、ご参考ください。

温度風と暖気移流・寒気移流に関しては、以下のことが成り立ちます。

よって地点Bでの下層風と上層風の変化が「時計回り」なのか「反時計回り」なのかを確認します。

地点Bでは「反時計回り」なので、寒気移流です。

よって問題(b)はになります。

解説 (c)について
「地点Cでは,850hPaから700hPaにかけて寒気移流場である。」

これはです。

(b)と同様に考えて、地点Cでの下層風と上層風の変化が「時計回り」なのか「反時計回り」なのかを確認します。

地点Cでは「反時計回り」なので、寒気移流です。

よって問題(c)はになります。

解説 (d)について
「地点A〜Cのうち,850hPaと700hPaの間の平均気温の⽔平傾度が最も⼤きいのは地点Aである。」

これはです。

⽔平傾度の大きさは、温度風の矢印の長さで表されます。

地点A,B,Cの温度風の矢印を描いてみると、以下のようになります。

⽔平傾度が最も⼤きいのは地点Cなので、問題(d)はになります。

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