【第53回】学科専門・問題15(2020年1月試験)

図Aは,ある年の2月の月平均500hPa 高度(実線)と平年差(塗りつぶし)であり,図Bは,月平均海面気圧(実線)と平年差(塗りつぶし)である。これらの図から読み取れる大気と海洋の特徴について述べた次の文章の空欄(a)~(c)に入る語句の組み合わせとして正しいものを,下記の①~⑤の中から1つ選べ。

 図Aでは,アリューシャン列島の東で正偏差,北米北部で負偏差,北米南東部で正偏差の波列パターンがみられる。これは,(a) が発生しているときに現れやすいパターンである。また,ヨーロッパから極東域にかけては,ヨーロッパ付近で負偏差,西シベリアから中央シベリアにかけて正偏差,極東域で負偏差の波列パターンがみられ,これは (b) と呼ばれる。
 図Bでは,地上のアリューシャン低気圧の勢力は中心の東側で平年よりも (c) なっており,(a) が発生しているときの特徴がみられる。

  (a) (b) (c)
エルニーニョ現象 北極振動 弱く
エルニーニョ現象 ユーラシアパターン 強く
ラニーニャ現象 北極振動 弱く
ラニーニャ現象 ユーラシアパターン 弱く
ラニーニャ現象 ユーラシアパターン 強く
答え
④ ラニーニャ現象 ユーラシアパターン 弱く
エルニーニョ/ラニーニャ現象について
エルニーニョ現象は、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象です。

逆に、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続く現象はラニーニャ現象と呼ばれています。

テレコネクションパターンについて
何千km~何万kmも離れた地域で観測された気圧などの気象データが、互いに相関をもって変動する現象をテレコネクションといいます。

テレコネクションのパターンはいくつも知られていて、例えば以下のパターンがあります。

  • ユーラシアパターン(Eurasian:ヨーロッパ~ユーラシア大陸北部~日本付近)
  • 北極振動(Arctic Oscillation)(大規模な海面気圧偏差パターン)
  • PNAパターン(Pacific/North American:太平洋・北米)
  • WPパターン(Western Pacific:太平洋西部)
  • PJパターン(Pacific-Japan:フィリピン付近の西太平洋熱帯域と日本付近)

選択肢に出てきた「ユーラシアパターン」と「北極振動」を詳しく見ていきます。

ユーラシアパターン

冬の日本の天候に影響を与えるテレコネクションパターンの1つです。

ヨーロッパからユーラシア大陸北部を通り日本付近にかけて、正負の高度の偏差域が波列状に並びます。

北極振動

北極域と中緯度域のあいだが逆符号となるほぼ同心円状の偏差パターン。

北極振動指数が正:北極域で低圧偏差、中緯度で高圧偏差。ヨーロッパでは偏西風の強化により温和で雨が多くなる。日本付近では温和な天候が続く

北極振動指数が負:北極域で高圧偏差、中緯度で低圧偏差。ヨーロッパでは晴天が続き、寒気の流入で寒冷化すると同時に日本付近も寒冷化する傾向にある。

■参考
季節予報用語集(気象庁HP)
夏の異常気象(東京大学、中村研究所)

答え (a)について
「図Aでは,アリューシャン列島の東で正偏差,北米北部で負偏差,北米南東部で正偏差の波列パターンがみられる。これは,(a) が発生しているときに現れやすいパターンである。」
「図Bでは,地上のアリューシャン低気圧の勢力は中心の東側で平年よりも (c) なっており,(a) が発生しているときの特徴がみられる。」

(a)はラニーニャ現象です。

エルニーニョ/ラニーニャ時の500hPa高度の図を比べてみると、色が反対になっていることがわかります。

下図(左)は、2018/2019年冬のエルニーニョ時の図です。

下図(右)は、2010/2011年冬のラニーニャ時の図です。

・左図:2018/2019年冬の天候と大気循環場の特徴(気象庁)
・右図:2010/2011 年に発生したラニーニャ現象(気象庁)

今回の問題は右図のパターンなので、ラニーニャが正解です。

■参考
エルニーニョ現象及びラニーニャ現象の発生期間(気象庁)
2017/2018年冬の天候と大気循環場の特徴(気象庁)

答え (b)について
「ヨーロッパから極東域にかけては,ヨーロッパ付近で負偏差,西シベリアから中央シベリアにかけて正偏差,極東域で負偏差の波列パターンがみられ,これは (b) と呼ばれる。」

(b)はユーラシアパターンです。

上述の「テレコネクションパターンについて」をご参考ください。

※正直、自分が試験を受けていたときは「ユーラシアパターン」について詳しく理解していませんでした。
今回の問題は、「北極振動は同心円状の偏差パターンである」ことを覚えておくと、「ヨーロッパから極東域にかけて負→正→負と並んでいるなら、同心円状の北極振動ではなくユーラシアパターンかな?」と推測できるかもしれません。

答え (c)について
「図Bでは,地上のアリューシャン低気圧の勢力は中心の東側で平年よりも (c) なっており,」

(c)は弱くです。

図Bを見ると、低気圧の勢力は中心の東側で弱くなっていることがわかります。

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