【第54回】学科一般・問題1(2020年8月試験)

図は標準的な大気における気温の鉛直分布を示したものである。図のA~Dの矩形で示された高度における気層の特性について述べた次の文(a)~(d)の正導の組み合わせとして正しいものを,下記の①~⑤の中から1つ選べ。

  1. (a) 気層Aでは,大気が波長の短い紫外線などを吸収して,高度が高いほど気温も高い。

  2. (b) 電離層は紫外線の作用により形成され,その大部分は気層Bの中にある。

  3. (c) 気層Cのオゾンの数密度は,大気層全体の中で最も大きい。

  4. (d) 気層Dにおける気温の平均的な鉛直分布は,放射のバランスと対流による大気の鉛直混合および水蒸気の凝結過程によりほぼ決まる。

  (a) (b) (c) (d)

答え
③ 正 誤 誤 正

解説 (a)について
「気層Aでは,大気が波長の短い紫外線などを吸収して,高度が高いほど気温も高い。」

これはです。

気層Aは高度約100km以上で、高度とともに気温が上がっています。
この領域は熱圏です。

熱圏は太陽に近いので、紫外線がダイレクトに降り注ぎます。そのうち0.1μm以下の波⻑の短い紫外線が、熱圏にある窒素や酸素に吸収されるため、温度が高くなります。

解説 (b)について
「電離層は紫外線の作用により形成され,その大部分は気層Bの中にある。」

これはです。電離層は紫外線の作用により形成されますが、その大部分は気層Bではなく気層Aより上の領域に含まれます。

(a)で触れたように、熱圏では波⻑の短い紫外線が窒素や酸素に吸収されます。このとき、紫外線の作用によって窒素や酸素の原⼦・分⼦から「電子」が分離します。これを「光電離」と呼びます。

光電離によって放出された電子と、電子を失った原子が混在する領域を「電離層」といいます。

電離層には、D層、E層、F1層、F2層があって、大部分は高度100km以上です。そのため気層Bにはほとんど存在しません。

一般気象学(小倉義光)

解説 (c)について
「気層Cのオゾンの数密度は,大気層全体の中で最も大きい。」

これはです。オゾンの数密度が大きいのは、気層C(高度50km付近)ではなく、成層圏下層の高度25km付近です。

太陽の紫外線は大気中の酸素分子に吸収されるため、紫外線の強度は高度が低くなるにつれて弱くなります。

一方、分解される酸素分子の量は、高度が低いほど多くなります。

この2つの量のかねあいによって、オゾン分子の高度分布は決まっています。

解説 (d)について
「気層Dにおける気温の平均的な鉛直分布は,放射のバランスと対流による大気の鉛直混合および水蒸気の凝結過程によりほぼ決まる。」

これはです。

気層Dは対流圏です。対流圏の気温の平均的な鉛直分布は、
・放射のバランス
・対流による大気の鉛直混合
・水蒸気の凝結過程
によってほぼ決まります。

放射のバランスは「地球が受け取る太陽放射量」と「地球からの放射量」が釣り合っている状態です。

また、太陽放射によって地表面が暖められることで、上層と下層の大気の対流が起こります。これが「対流による大気の鉛直混合」です。

空気中にはふつう水蒸気が含まれていますが、この水蒸気が凝結するときには潜熱が放出されます。この潜熱によって空気が暖められるので、「水蒸気の凝結過程」も対流圏の気温の鉛直分布に関係します。

<参考>
対流圏の気温減率はなぜ6.5K/kmなのか ― エネルギー収支からの考察(木村龍治)
・大気の鉛直構造の詳細(秋田地方気象台)

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