フェーン現象に関する問題です。フェーン現象は「風が山を越えるときに、吹き降りる側で高温の風となって気温が上がる現象」です。
下図はフェーン現象の例です。
※乾燥断熱減率(10℃/1000m)と湿潤断熱減率(5℃/1000m)の数字は分かりやすくするためにキリのよい数字にしています。
湿潤断熱減率のほうが乾燥断熱減率より小さい理由は、湿潤断熱変化には潜熱の放出が伴うからです。熱が発生するので、温度の下がり方が鈍くなります。
今回の問題で、それぞれの空気塊の温度変化を考えていきます。
<空気塊A>
①0mで15℃ → 1500mで雲になり始める(=凝結が始まる)
②1500m → 2000mまで上がる
③2000m → 0mまで下がる
①では15℃の空気が乾燥断熱変化で0m→1500mまで持ち上がるので、
15℃ ー (1500m×(10℃/1000m)) = 0℃
②では0℃の空気が湿潤断熱変化で1500m→2000mまで持ち上がるので、
0℃ ー (500m×(5℃/1000m)) = -2.5℃
②では-2.5℃の空気が乾燥断熱変化で2000m→0mまで降りてくるので、
-2.5℃ + (2000m×(10℃/1000m)) = 17.5℃
<空気塊B>
①0mで15℃ → 1000mで雲になり始める(=凝結が始まる)
②1000m → 2000mまで上がる
③2000m → 0mまで下がる
①では15℃の空気が乾燥断熱変化で0m→1000mまで持ち上がるので、
15℃ ー (1000m×(10℃/1000m)) = 5℃
②では5℃の空気が湿潤断熱変化で1000m→2000mまで持ち上がるので、
5℃ ー (1000m×(5℃/1000m)) = 0℃
②では0℃の空気が乾燥断熱変化で2000m→0mまで降りてくるので、
0℃ + (2000m×(10℃/1000m)) = 20℃
<空気塊C>
①0mで15℃ → 1000mで雲になり始める(=凝結が始まる)
②1000m → 1750mまで上がる
③1750m → 0mまで下がる
①では15℃の空気が乾燥断熱変化で0m→1000mまで持ち上がるので、
15℃ ー (1000m×(10℃/1000m)) = 5℃
②では5℃の空気が湿潤断熱変化で1000m→1750mまで持ち上がるので、
5℃ ー (750m×(5℃/1000m)) = 1.25℃
②では1.25℃の空気が乾燥断熱変化で1750m→0mまで降りてくるので、
1.25℃ + (1750m×(10℃/1000m)) = 18.75℃
よって正解は「TB > TC > TA」です。