【第52回】学科一般・問題2(2019年8月試験)

湿潤空気について述べた次の⽂章の空欄(a)〜(c)に⼊る適切な語句の組み合わせを,下記の①〜⑤の中から⼀つ選べ。ただし,⼤気は静⼒学平衡の状態にあるものとする。

 ある湿潤空気に対して,同じ圧⼒,同じ(a)をもつ乾燥空気の温度を仮温度と定義することにより,湿潤空気の状態を表す式として,乾燥空気に対する状態⽅程式を⽤いることができる。ある気圧における湿潤空気の温度と仮温度とを⽐べると,仮温度の⽅が(b)。ある地点において⾼度Hから⼤気上端までの空気の仮温度が⾼いほど,⾼度Hでの気圧は(c)。

  (a)  (b)  (c)
① 密度 ⾼い 低い
② 密度 ⾼い ⾼い
③ ⽐熱 ⾼い 低い
④ ⽐熱 低い ⾼い
⑤ 密度 低い ⾼い

答え
① 密度 ⾼い 低い
解説 熱力学の知識
問題や選択肢に出てくる湿潤空気・乾燥空気・密度・比熱とは以下の通りです。
 
理想気体の状態方程式は以下の式で表されます。
解説 (a)(b)について
「ある湿潤空気に対して,同じ圧⼒,同じ(a)をもつ乾燥空気の温度を仮温度と定義することにより,湿潤空気の状態を表す式として,乾燥空気に対する状態⽅程式を⽤いることができる。ある気圧における湿潤空気の温度と仮温度とを⽐べると,仮温度の⽅が(b)。」
 
ある湿潤空気と、ある乾燥空気について、状態方程式PV=nRTの要素を考えます。
問題文より圧力は同じです。また乾燥空気の温度は仮温度として定義されているので、T(仮温度)とします。そして湿潤空気の温度はとします。
 
V(体積)については指示がないので、”同じ(a)”はV(体積)に関するものだと推測します。体積とは「物質の空間的な大きさ」です。気体の体積とは「気体分子が飛び交っている空間の範囲」です。
体積に占める空気分子の数は密度として表されます。
・空気が膨張すると体積が大きくなりますが、空気分子の数は変わりません。
 よって密度が小さくなります。
・空気が圧縮すると体積が小さくなりますが、空気分子の数は変わりません。
 よって密度が大きくなります。
 
この時点で(a)は比熱ではなく密度だと推測できます。
 
次に「湿潤空気の状態を表す式として,乾燥空気に対する状態⽅程式を⽤いることができる」とあるので、状態方程式PV=nRTを用いて表していこうと思いました。
しかし気体定数Rは乾燥空気と湿潤空気で異なるため、状態方程式で表そうとすると不明な要素が多くなって上手く表せません。
 
そこで仮温度とはどういうものなのかを考えます。
問題文より、仮温度は「ある湿潤空気に対して,同じ圧⼒,同じ密度をもつ乾燥空気の温度」と定義されます。
 
乾燥空気の構成成分は主に窒素(分子量28)と酸素(分子量32)です。
”湿潤空気=乾燥空気+水蒸気”なので、湿潤空気の構成成分は主に窒素(分子量28)と酸素(分子量32)と水分子(分子量18)です。
ここで圧力温度が同じだと仮定すると、 分子量が小さい水分子を含む湿潤空気のほうが軽い(=密度が小さい)ことがわかります。
仮温度では湿潤空気と乾燥空気密度が同じなので、乾燥空気密度を小さくして、湿潤空気の密度と同じにする方法を考えます。
 
密度を小さくするには体積を大きくすれば良いです。
すなわち、空気を膨張させれば良いです。
空気を膨張させるには温度を高くすれば良いので、以下のようになります。
よって「ある湿潤空気に対して,同じ圧⼒,同じ密度をもつ乾燥空気」の温度(=仮温度)は、湿潤空気の温度よりも高くなります。
 
よって正解は「(a)密度」「(b)高い」です。
解説 (c)について
「ある地点において⾼度Hから⼤気上端までの空気の仮温度が⾼いほど,⾼度Hでの気圧は(c)。」
 
乾燥空気を加熱して膨張させたときの温度を「仮温度T」とします。この乾燥空気をさらに加熱して膨張させたときの温度を「仮温度T'」とします。
加熱すると、体積は大きくなるけど空気分子の数は変わらないので、密度は小さくなります。また、加熱するほど温度は高くなるので、「T<T’」です。
大気中の気柱で同様に考えます。高度Hから大気上端までの気柱を2つ用意します。
・左の気柱は空気分子の数が多いので重たい空気です。
  → 気圧が高くなります。
・右の気柱は空気分子の数が少ないので軽い空気です。
  → 気圧が低くなります。
「左の気柱の仮温度」よりも「右の気柱の仮温度」のほうが高いので、仮温度が⾼いほど、⾼度Hでの気圧は低くなります
 
よって正解は「(c)低い」です。

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