【第51回】2019年1月試験

【第51回】学科一般・問題9(2019年1月試験)

 日本の梅雨期におけるバックビルディング型の帯状の降水域(以下,「帯状降水域」という。)について述べた次の文章の下線部(a)~(d)の正誤について,下記の①~⑤の中から正しいものを一つ選べ。

日本の梅雨期には,バックビルディング型の帯状降水域が現れ,狭い地域に長時間にわたる強い降水をもたらすことがある。これは,(a)帯状降水域を構成する個々の降水セルが長寿命でほとんど動かないためである。このような降水域の多くは,(b)一般風の風向が高度にかかわらずほぼ一定の場合に見られる。バックビルディング型の帯状降水域では,降水域内の降水セルに対して(c)一般風の風下側に新しい降水セルが形成され,降水域は(d)一般風の風向に対して垂直な走向をもつ

(a)のみ正しい
(b)のみ正しい
(c)のみ正しい
(d)のみ正しい
すべて誤り
答え
⑤ すべて誤り
解説 (a)について
(a)帯状降水域を構成する個々の降水セルが長寿命でほとんど動かないためである。」

これはです。

個々の降水セルの寿命は長寿命ではなく、30~60分程度の短命です。

バックビルディング型の帯状降水域を構成する積乱雲は、湿った空気が流れ込む風上側で次々と生成されます。

解説 (b)について
「このような降水域(=帯状降水域)の多くは,(b)一般風の風向が高度にかかわらずほぼ一定の場合に見られる。」

これはです。帯状降水域は、高度によって風向が変わるところに発生します。

以下、2003年に広島で起きた線状降水帯に関する論文の一部を要約します。(詳しくは元の論文をご覧ください。)

  • ①下層の風が収束し、対流セルが発生して,線状降水帯を形成した(a)。
  • ②①で発生した対流セルは、中層風(南西風)の風下に流されて線状の形状になった(b)。
  • このとき、中層風(南西風)と地上の温暖前線(東南東風)は、ほぼ直行する走向だった。
解説 (c)について
「バックビルディング型の帯状降水域では,降水域内の降水セルに対して(c)一般風の風下側に新しい降水セルが形成され,」

これはです。

風下側ではなく風上側です。「解説 (a)について」をご参考ください。

解説 (d)について
「降水域は(d)一般風の風向に対して垂直な走向をもつ。」

これはです。

垂直な走向ではなく平行な走向側です。

「解説 (a)について」の図のように、風に沿って積乱雲が発生し、積乱雲の下に降水域が広がります。

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