【第50回】学科専門・問題1(2018年8月試験)

 気象レーダーで観測される反射波(エコー)について述べた次の⽂(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の①〜⑤の中から⼀つ選べ。

  1. (a) ⾵⼒発電⽤⾵⾞のように,動きのある構造物からのグランドクラッタを品質管理で取り除くのは困難な場合がある。

  2. (b) シークラッタは,海上の波しぶきなどに電波が当たって,降⽔のないところにエコーが現れる現象であり,⼤気の屈折率が地表⾯から上⽅に向かって⼤きく減少している場合に現れやすい。

  3. (c) 気温が0℃となる⾼度付近で融解層が形成されている場合,そこでは局所的にエコーが弱く観測される。

  4. (d) 電波の伝搬経路上に強い降⽔がある場合や,レドームに⽔膜ができている場合は,実際の降⽔より強いエコーが観測される。

(a) (b) (c) (d)
答え
② 正 正 誤 誤
解説 (a)について
「⾵⼒発電⽤⾵⾞のように,動きのある構造物からのグランドクラッタを品質管理で取り除くのは困難な場合がある。」

これはです。

気象レーダーは、レーダーから電波を発射して雨粒・雪粒にぶつけて、戻ってくる電波(反射波・エコー)を観測しています。

しかし、実際には降水がなくてもエコーが観測されることがあります。

これを「非降水エコー」といいます。

非降水エコーはいくつか種類がありますが、その一つがグランドクラッタです。

グランドクラッタは、山や構造物に電波が当たってしまうことで発生する非降水エコーです。

山やビルのように動かないものであれば本当の降水エコーと区別して取り除くことができますが、「⾵⼒発電⽤⾵⾞」「スキー場のリフト」「風で揺れる樹木」のように、動くものが原因のグランドクラッタは完全に取り除くことが難しいです。

解説 (b)について
「シークラッタは,海上の波しぶきなどに電波が当たって,降⽔のないところにエコーが現れる現象であり,⼤気の屈折率が地表⾯から上⽅に向かって⼤きく減少している場合に現れやすい。」

これはです。

気象レーダーの電波は通常なら直進しますが、大気の屈折率によって電波が曲げられることがあります。

大気の屈折率は気温や湿度などによって決まりますが、屈折率が高さ方向に大きく変化する場合に、気象レーダーの電波は曲げられます。

例えば、海陸風によって温度の異なる空気が流れ込んでくると、大気の屈折率は変化しやすいです。

解説 (c)について
「気温が0℃となる⾼度付近で融解層が形成されている場合,そこでは局所的にエコーが弱く観測される。」

これはです。融解層が形成されている場合、そこでは局所的にエコーが強く観測されます。

空から雪や雨が降ってくるとき、最初は雪の状態です。

雪が地上に向かって降ってくる途中で、周囲の気温は「マイナス気温」→「0℃」→「プラス気温」と変化します。

このとき、「雪」→「みぞれ(雪+雨)」→「雨」と変化しますが、「みぞれ」は雨粒より粒が大きく、液体に覆われています。

気象レーダーの電波は、「より大きい粒」&「固体より液体」を強く反射する性質があります。

よって気温が0度となる高度付近の、みぞれが存在している領域(融解層)では、局所的に強いエコーが観測されることがあります。

これは「ブライトバンド」と呼ばれています。

解説 (d)について
「電波の伝搬経路上に強い降⽔がある場合や,レドームに⽔膜ができている場合は,実際の降⽔より強いエコーが観測される。」

これはです。電波の伝搬経路上に強い降⽔がある場合や,レドームに⽔膜ができている場合は,実際の降⽔より弱いエコーが観測されます。

電波の伝搬経路上に強い降⽔がある場合、電波が減衰してしまうため、実際の降水よりも弱いエコーとして観測されます。

また、レドームに⽔膜ができている場合も、電波が減衰して弱いエコーになります。

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