【第50回】2018年8月試験

【第50回】学科一般・問題7(2018年8月試験)

 中度地方の地衡風による温度移流について述べた次の文章中の空欄(a)~(c)に入る最も適切な語句と数値の組み合わせを,下記の①~⑤の中から一つ選べ。

地衡風による温度移流は,地衡風速,(a)および等圧線と等温線のなす角θによって表される。地点Pとその周辺の気圧と気温の水平分布が図の等圧線と等温線で示すような関係にあるとき,(b)の地点Pにおける温度移流は暖気移流である。また,地点Pにおける地衡風速が5m/s,(a)の大きさが0.3℃/10km,角θが90°のとき,暖気移流による気温変化率は(c)℃/h である。

  (a) (b) (c)
温度減率 南半球 0.27
温度減率 北半球 0.54
水平温度傾度 北半球 0.27
水平温度傾度 北半球 0.54
水平温度傾度 南半球 1.08
答え
④ 水平温度傾度 北半球 0.54
解説 (a)について
「地衡風による温度移流は,地衡風速,(a)および等圧線と等温線のなす角θによって表される。」

これは水平温度傾度が正解です。

風が吹いて温度が変化するとき、温度移流があるといいます。

「水平方向の気温差(=水平温度傾度)」が大きいほど、温度移流も大きくなります。

温度移流について、詳しくはこちらをご覧ください。

解説 (b)について
「地点Pとその周辺の気圧と気温の水平分布が図の等圧線と等温線で示すような関係にあるとき,(b)の地点Pにおける温度移流は暖気移流である。」

これは北半球が正解です。

問題文より、地点Pでは暖気移流があります。すなわち、温度の高い方から低い方に向かって風が吹いています。

図の等温線を見ると「12℃」と「9℃」の線があるので、温度の高い方から低い方に向かって風が吹く場合、風向きは下図のようになります。

次に、問題文の冒頭を見てみると「中緯度地方の地衡風による温度移流」とあります。

地衡風は「気圧傾度力にコリオリ力の影響を加味した力」です。

北半球の場合、地衡風は「低気圧を左側」「高気圧を右側」にして吹きます。

(地衡風について、詳しくはこちらをご覧ください。)

図より、地衡風による温度移流の左側は1000hPa(低気圧)右側は1004hPa(高気圧)になっています。

そのため(b)に入るのは「北半球」です。

解説 (c)について
「また,地点Pにおける地衡風速が5m/s,(a)(=水平温度傾度)の大きさが0.3℃/10km,角θが90°のとき,暖気移流による気温変化率は(c)℃/h である。」

単位を合わせるため、5m/sを時速に換算します。
・1m = 0.001 km
・1s= 1/(60×60)h=1/3600h
より、以下のようになります。

問題文の情報をまとめると以下のようになります。

角θは90°なので、「12℃の等温線」から「9℃の等温線」までの距離は真っすぐ100kmで計算することができます。

「12℃の等温線から9℃の等温線まで、速度18km/hで風が移動する。気温の変化は3℃(12℃→9℃)。」であることから、暖気移流による気温変化率を求めると以下のようになります。

よって答えは「0.54」です。

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