【第54回】学科一般・問題10(2020年8月試験)

成層圏について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の①~⑤の中から1つ選べ。

  1. (a) 1月の成層圏上部においては,一般に北極付近が全球の中で最も気温が低い。

  2. (b) 1月の北半球の成層圏上部では,プラネタリー波の対流圏からの伝播により,アリューシャン列島付近に高気圧がしばしば現れる。

  3. (c) 対流圏から成層圏へプラネタリー波が伝播するのは,成層圏が西風になっているときである。

  4. (d) 成層圏に伝播するプラネタリー波は,地形や海陸の熱的効果により励起され,2000km程度の波長を持つ。

(a) (b) (c) (d)
答え
① 正 正 正 誤
解説 (a)について
「1月の成層圏上部においては,一般に北極付近が全球の中で最も気温が低い。」

これはです。

気象庁HPの図を加工)

解説 (b)について
「1月の北半球の成層圏上部では,プラネタリー波の対流圏からの伝播により,アリューシャン列島付近に高気圧がしばしば現れる。」

これはです。

プラネタリー波は偏西風波動の一種で、大規模な地形の影響により対流圏で発生した波が上空に伝わったものです。

冬季の北半球の成層圏では西風が吹いています。そのため北極を中心にして見ると、低気圧正循環となり、北極付近には低気圧があります。

そしてアリューシャン列島付近には高気圧が発生します。この「アリューシャン高気圧」は、冬になるとほぼいつでも見られる高気圧です。

天気の科学(8)成層圏突然昇温(山本孝治),「図2 2009年1月の10hPa天気図」を加工

解説 (c)について
「対流圏から成層圏へプラネタリー波が伝播するのは,成層圏が西風になっているときである。」

これはです。

対流圏は夏でも冬でも偏西風が吹いているので、西風です。

対流圏内では、偏西風がチベット山脈やロッキー山脈にぶつかったり、海洋上の熱的効果を受けたりして、絶えずプラネタリー波が生成されています。

一方、成層圏は「夏は東風」「冬は西風」です。

夏は、成層圏では東風、対流圏では西風になるため、対流圏から成層圏へプラネタリー波が伝播することはできません。

冬は、成層圏では西風、対流圏では西風になるため、対流圏から成層圏へプラネタリー波が伝播できます。

解説 (d)について
「成層圏に伝播するプラネタリー波は,地形や海陸の熱的効果により励起され,2000km程度の波長を持つ。」

これはです。

プラネタリー波は、2000km程度ではなく、1万km以上の波長を持ちます。

波長が数千kmなのは「傾圧不安定波」です。

    波長 発生要因
偏西風波動 プラネタリー波 1万km以上 大規模な地形の影響で対流圏で発生した波が上空に伝わったもの。
傾圧不安定波 数千km 南北の温度差によって発生する

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