【第53回】2020年1月試験

【第53回】学科専門・問題13(2020年1月試験)

⻯巻発⽣確度ナウキャストおよび⻯巻注意情報について述べた次の⽂(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

  1. (a) ⻯巻発⽣確度ナウキャストは,⻯巻等の激しい突⾵が今にも発⽣する(または発⽣している)可能性の程度を推定するもので,発⽣確度を10km格⼦単位で解析し,1時間後までの予測を10 分毎に更新して発表する。

  2. (b) 発⽣確度2は,発⽣確度1と⽐べると適中率は⾼いものの捕捉率は低く,⾒逃しが多いため,⻯巻注意情報は発⽣確度1が現れた地域に対して発表する。

  3. (c) ⻯巻発⽣確度ナウキャストは,気象ドップラーレーダーによるメソサイクロンの検出結果を利⽤している。

  4. (d) 気象庁の現業数値予報モデルは,⻯巻やメソサイクロンのような⼩さなスケールの現象を予測することができないため,⻯巻発⽣確度ナウキャストは数値予報の結果を利⽤していない。

  (a) (b) (c) (d)
答え
③ 正 誤 正 誤
解説 (a)について
「⻯巻発⽣確度ナウキャストは,⻯巻等の激しい突⾵が今にも発⽣する(または発⽣している)可能性の程度を推定するもので,発⽣確度を10km格⼦単位で解析し,1時間後までの予測を10 分毎に更新して発表する。」

これはです。問題文の通りです。

解説 (b)について
「発⽣確度2は,発⽣確度1と⽐べると適中率は⾼いものの捕捉率は低く,⾒逃しが多いため,⻯巻注意情報は発⽣確度1が現れた地域に対して発表する。」

これはです。

⻯巻注意情報は発⽣確度2が現れた地域に対して発表します。

■発⽣確度2
・適中率7~14%(発生確度1より高い)
・見逃しが多い(実際に発生する突風事例のうち、30~50%は見逃している)
発⽣確度2となっている地域に竜巻注意情報が発表される
→地域を絞り込んで、本当にヤバそうな所のみに発表する

■発⽣確度1
・適中率1~7%(発生確度2より低い)
・発生確度2で見逃す事例を補うように設定する(捕捉率は80%)
→広い範囲に発表して、なるべく見逃すことがないようにする

<参考>
竜巻発生確度ナウキャストとは(気象庁)

解説 (c)について
「⻯巻発⽣確度ナウキャストは,気象ドップラーレーダーによるメソサイクロンの検出結果を利⽤している。」

これはです。

気象ドップラーレーダーでは、⻯巻そのものの検出は難しいです(竜巻の直径が小さいため)。

しかし、竜巻をもたらす発達した積乱雲の中にはメソサイクロンが存在し、そのメソサイクロンを気象ドップラーレーダーで検出することはできます。

そのため、気象ドップラーレーダー観測によるメソサイクロンの検出は、竜巻を予測すための有効な手段の一つなので、⻯巻発⽣確度ナウキャストにも利用されています。

解説 (d)について
「気象庁の現業数値予報モデルは,⻯巻やメソサイクロンのような⼩さなスケールの現象を予測することができないため,⻯巻発⽣確度ナウキャストは数値予報の結果を利⽤していない。」

これはです。

⻯巻発⽣確度ナウキャストは数値予報の結果も利用しています。

竜巻が発生しやすい状況のとき、数値予報による突風関連指数と気象レーダーの観測データから、「突風危険指数」という指数を計算しています。

突風危険指数は、気象ドップラーレーダー観測によるメソサイクロンの検出と組み合わせて、竜巻発生確度ナウキャストの予測に利用しています。

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