【第53回】2020年1月試験

【第53回】学科一般・問題11(2020年1月試験)

 子午面循環について述べた次の文章の空欄(a)~(c)に入る適切な語句の組み合わせを,下記の①~⑤の中から1 つ選べ。ただし,図中の矢印の付いた曲線は,空気の密度の重みをつけた流れを表す。

 図は,世界各地で観測された風を(a)の期間について時間平均し経度平均して求めた,子午面循環を表している。図中の循環Pは,相対的に温度の低い緯度で上昇し,温度の高い緯度で下降する(b)である。図中の点Qにおいて赤道方向に向かう大気の流れは,(c)の西風成分をもつ。

  (a) (b) (c)
6~8月 直接循環
6~8月 間接循環
6~8月 間接循環
12~2月 間接循環
12~2月 直接循環
答え
③ 6~8月 間接循環 負
解説 (a)について
「図は,世界各地で観測された風を(a)の期間について時間平均し経度平均して求めた,子午面循環を表している。」

正解は6~8月です。

図より、北緯10°~20°付近には上昇流があります。太陽放射によって暖められた空気が上昇していることから、北半球の方が南半球よりも気温が高いことがわかります。

北半球で気温が高い時期なので、6~8月が正解です。

12~2月の場合、南半球側で上昇流が起こります。

引用:一般気象学【第2版】P.171(小倉義光)

ちなみに「子午面循環」とは、地球規模の大気の流れ(大気循環)のうち、南北方向の循環のことをいいます。
解説 (b)について
「図中の循環Pは,相対的に温度の低い緯度で上昇し,温度の高い緯度で下降する(b)である。」

正解は間接循環です。

循環Pはフェレル循環を表しています。

「子午面循環」には、ハドレー循環・フェレル循環・極循環の3つの循環がありますが、このうちハドレー循環と極循環は直接循環、フェレル循環は間接循環です。

直接循環は、相対的に温度が高いところで上昇流、温度が低いところで下降流が起こる循環です。

間接循環は、温度が高いところで下降流、温度が低いところで上昇流が起こる循環です。

フェレル循環による南北の熱輸送は、偏西風の蛇行が関係しています。

偏西風が蛇行することで、温度が高いところ(暖気側)に向かって寒気下降流、温度が低いところ(寒気側)に向かって暖気上昇流が起こります。

ハドレー循環や極循環のように実際に循環があるわけではなく、見かけ上、循環がある状態なので、「間接循環」といいます。

解説 (c)について
「図中の点Qにおいて赤道方向に向かう大気の流れは,(c)の西風成分をもつ。」

正解はです。

問題文より、「正の西風成分をもつ」=西寄りの風、「負の西風成分をもつ」=東寄りの風、になります。

よって、点Qで赤道方向に向かう大気の流れが、西寄りの風なのか東寄りの風なのかを考えます。

点Qは南緯15°付近ですが、ここでは貿易風が吹いています。

南半球では、赤道に向かう風はコリオリ力によって左側に曲げられるので、貿易風の風向は南東です。よって東寄りの風であることから、「負」が正解です。

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