【第52回】2019年8月試験

【第52回】実技1・問1(1)(2019年8月試験)

XX年9⽉9⽇から10⽇にかけての⽇本付近における気象の解析と予想に関する以下の問いに答えよ。予想図の初期時刻は,図10は8⽇21時(12UTC),図12は9⽇0時(8⽇15UTC),その他はいずれも9⽇9時(00UTC)である。

問1.図1は地上天気図,図2は500hPaおよび850hPaの天気図,図3は気象衛星画像であり,時刻はいずれも9⽇9時である。また,図4は9⽇12時の地上実況図である。これらを⽤いて,以下の問いに答えよ。

(1) ⽇本付近の気象概況と予想について述べた次の⽂章の空欄(①)〜(⑪)に⼊る適切な数値または語句を答えよ。ただし,⑧は台⾵の⼤きさ,⑨は台⾵の強さを,台⾵情報で使われる語句で答えよ。⑧⑨に該当する適切な語句がないときは,「なし」と記⼊せよ。

 9 ⽇ 9 時の地上天気図では,本州付近に中⼼気圧が(①)hPaの台⾵第XX号があって,(②)ノットの速さで北⻄へ進んでいる。中⼼付近の最⼤⾵速は(③)ノット,最⼤瞬間⾵速は(④)ノットで,中⼼の北東側(⑤)海⾥以内と(⑥)側(⑦)海⾥以内では,30ノット以上の強い⾵が吹いている。この台⾵の中⼼は,今後24時間以内に⽇本海に達する⾒込みである。また,南⿃島の北には別の(⑧)(⑨)台⾵があって北⻄に進んでいる。
 三陸沖から⽇本のはるか東にかけては停滞前線がのびていて,北緯 40°東経153°付近の船舶Aからの通報によると,海⾯付近で(⑩)が観測されている。
 本州の多くの観測地点では⾬となっている。⼀⽅,九州から沖縄にかけての観測地点の天気は名瀬を除いて(⑪)となっている。
 
図1
答え
① 990 ② 14 ③ 45 ④ 65 ⑤ 180 ⑥ 南西 ⑦ 90
⑧ なし ⑨ 強い ⑩ 霧 ⑪ 晴れ
解説 ①~⑨について
「9 ⽇ 9 時の地上天気図では,本州付近に中⼼気圧が(①)hPaの台⾵第XX号があって,(②)ノットの速さで北⻄へ進んでいる。中⼼付近の最⼤⾵速は(③)ノット,最⼤瞬間⾵速は(④)ノットで,中⼼の北東側(⑤)海⾥以内と(⑥)側(⑦)海⾥以内では,30ノット以上の強い⾵が吹いている。この台⾵の中⼼は,今後24時間以内に⽇本海に達する⾒込みである。また,南⿃島の北には別の(⑧)(⑨)台⾵があって北⻄に進んでいる。」
 
①~⑨は図1を用いて答えます。
図1には2つの台風情報があります。台風情報には台風の中心位置の緯度・経度が書かれているので、これを元にすると、左側の台風情報が本州付近の台風、右側の台風情報が南鳥島の北の台風だとわかります。
 
①~⑦について
本州付近の台⾵第XX号の情報は以下の通りです。
①中心気圧を読み取ると「990」hPaです。
②移動速度を読み取ると「14」ノットです。
③中⼼付近の最⼤⾵速を読み取ると「45」ノットです。
④最⼤瞬間⾵速を読み取ると「65」ノットです。
⑤30ノット以上の風が吹いている範囲を読み取ると、中⼼の北東側半円では「180」海里です。
⑥中⼼の北東側半円以外で、30ノット以上の風が吹いている範囲を読み取ります。北東側半円以外なので、ELSEWHERE(そのほかの範囲)は北東と正反対の方向になります。よって「南西」です。
⑦30ノット以上の風が吹いている範囲を読み取ると、中⼼の南西側では「90」海里です。
 
⑧⑨について
問題文より「⑧は台⾵の⼤きさ,⑨は台⾵の強さを,台⾵情報で使われる語句で答えよ。⑧⑨に該当する適切な語句がないときは,「なし」と記⼊せよ」と指示があります。よって南鳥島の北にある台風の「大きさ」と「強さ」を読み取ります。
 
台風の「大きさ」と「強さ」の表現は以下の通りです(引用:気象庁HP)。
 
⑧大きさは「風速15m/s以上の風が吹く範囲」です。今回の台風では「30ノット(≒15m/s)以上の風が吹く範囲」が示されているので、これを読み取ると、北東半円240海里(≒444km)とそのほかの範囲180海里(≒333km)です。いずれも500km未満なので、大きさに関しては「なし」です。
 
⑨強さは「最大風速」で決まります。今回の台風では中心付近の最大風速が65ノット(≒33m/s)とあるので、強さは「強い」です。
 
※⑧⑨では単位変換を覚えていないと正解するのが厳しいと思います。ノットと海里はよく出るので、単位変換を覚えておくと良いと思います。
解説 ⑩について
「三陸沖から⽇本のはるか東にかけては停滞前線がのびていて,北緯 40°東経153°付近の船舶Aからの通報によると,海⾯付近で(⑩)が観測されている。」
 
図1より船舶Aからの通報を読み取ると、現在天気で「」が観測されているとわかります。
解説 ⑪について
「本州の多くの観測地点では⾬となっている。⼀⽅,九州から沖縄にかけての観測地点の天気は名瀬を除いて(⑪)となっている。」
 
図1の「本州付近の拡大図」より、多くの地点で雨となっていることがわかります。
一方、九州から沖縄の地点を見ると、鹿児島が雲量1、名瀬が雲量7、那覇・石垣島・南大東が雲量2だとわかります。それぞれの天気記号に現在天気の記載がないので、雲量から天気を判断すると、答えは「晴れ」です。(鹿児島は雲量1なので「快晴」だと思いますが、答えは「晴れ」になっていました。)

(右図:気象庁HPの画像を加工)

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