【第51回】2019年1月試験

【第51回】学科一般・問題5(2019年1月試験)

 大気中の氷晶核と氷粒子について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の①~⑤の中から一つ選べ。

  1. (a) 気温がおよそ-40℃以下の大気中で水滴が凍結するためには,氷晶核の存在が不可欠である。

  2. (b) 一般に,氷晶核の数は,凝結核の数よりも多い。

  3. (c) 過冷却雲内において水滴と氷粒子が併存するとき,昇華凝結過程による氷粒子の成長は,凝結過程による水滴の成長よりも速い。

  4. (d) あられの形成においては,氷粒子の雲粒捕捉成長が卓越している。

(a) (b) (c) (d)
答え
④ 誤 誤 正 正
解説 (a)について
「気温がおよそ-40℃以下の大気中で水滴が凍結するためには,氷晶核の存在が不可欠である。」

これはです。

水滴は-40℃以下の気温になると、氷晶核が存在しなくても勝手に凍結します

解説 (b)について
「一般に,氷晶核の数は,凝結核の数よりも多い。」

これはです。

観測結果から、氷晶核の数は凝結核よりも非常に少ないことがわかっています。

解説 (c)について
「過冷却雲内において水滴と氷粒子が併存するとき,昇華凝結過程による氷粒子の成長は,凝結過程による水滴の成長よりも速い。」

これはです。

氷粒子の成長は、水滴の成長よりも早いです。これは両者の飽和水蒸気圧の違いによるものです。

気温がー10℃のとき、氷粒子の飽和水蒸気圧は2.6hPa水滴の飽和水蒸気圧は2.9hPaです。

ある空気塊の気温がー10℃、水蒸気圧が2.7hPaだとすると、以下のようになります。

解説 (d)について
「あられの形成においては,氷粒子の雲粒捕捉成長が卓越している。」

これはです。

雲粒捕捉成長とは、氷粒子が雲の中を落下するときに過冷却雲粒とぶつかって成長することです。

氷粒子と過冷却雲粒がぶつかると、過冷却雲粒が氷粒子の表面に凍り付きます。氷粒子は大きく重くなるので、周辺の雲粒を捕らえながらさらに大きくなります。

これを繰り返すことであられが形成されます。

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