【第50回】学科一般・問題5(2018年8月試験)

⼤気中の各種の粒⼦による太陽光や電波の散乱について述べた次の⽂(a)〜(d)の下線部の正誤について,下記の①〜⑤の中から正しいものを⼀つ選べ。

  1. (a) 地表⾯や雲による太陽放射の反射は地球のアルベドに寄与するが,⼤気中の気体分⼦,エーロゾルによる反射と散乱は地球のアルベドに寄与しない

  2. (b) 可視光線が空気分⼦によって散乱されるとき,散乱強度は波⻑によらない

  3. (c) 光が⼤気中のエーロゾル粒⼦によって散乱されるとき,粒⼦の半径が光の波⻑と同程度から⼤きくなるにつれて,ミー散乱の寄与が⼤きくなる

  4. (d) 気象レーダーは,マイクロ波が降⽔粒⼦によりレイリー散乱されることを利⽤している

(a)のみ正しい
(b)のみ正しい
(c)のみ正しい
(d)のみ正しい
すべて誤り
答え
④ (d)のみ正しい
解説 (a)について
「地表⾯や雲による太陽放射の反射は地球のアルベドに寄与するが,⼤気中の気体分⼦,エーロゾルによる反射と散乱は地球のアルベドに寄与しない。」

これはです。

⼤気中の気体分⼦、エーロゾルによる反射と散乱は、地球のアルベドに寄与しています。

地球のアルベドは以下のようになっていて、大気中の気体分子やエーロゾルもアルベドに寄与していることが分かります。

解説 (b)について
「可視光線が空気分⼦によって散乱されるとき,散乱強度は波⻑によらない。」

これはです。

可視光線が空気分⼦によって散乱されるとき、散乱強度は波長の4乗に反比例します。

この散乱は「レイリー散乱」と呼ばれています。

空気分子は、可視光線の波長よりもかなり小さいです。

レイリー散乱では、可視光線のうち波長の短い電磁波ほど空気分子に衝突しやすく、強く散乱します

解説 (c)について
「光が⼤気中のエーロゾル粒⼦によって散乱されるとき,粒⼦の半径が光の波⻑と同程度から⼤きくなるにつれて,ミー散乱の寄与が⼤きくなる。」

これはです。

粒⼦の半径が光の波⻑より大きくなると、ミー散乱の寄与は小さくなり、幾何学散乱に近づきます

散乱は「粒⼦の半径」と「光の波長」の大きさによって、下図のように分類されます。

「粒⼦の半径」と「光の波⻑」が同程度の場合はミー散乱ですが、そこから「粒⼦の半径」を大きくすると(=グラフで上のほうにズラしていくと)、幾何学散乱になります。

一般気象学,125ページ図5.15,小倉義光(赤は加筆)

解説 (d)について
「気象レーダーは,マイクロ波が降⽔粒⼦によりレイリー散乱されることを利⽤している。」

これはです。

波長の短い電磁波をマイクロ波といいますが、気象レーダーの波長は数cmなので、マイクロ波にあたります。

降⽔粒⼦の半径は数mm程度です。

「マイクロ波の波長」は「降⽔粒⼦の半径」よりかなり大きいため、マイクロ波が降⽔粒⼦にぶつかるとレイリー散乱されます。

ちなみに、雲粒は降⽔粒⼦より小さく、半径は1~100μmです。そのため気象レーダーのマイクロ波がぶつかってもあまり散乱されません。

一般気象学,125ページ図5.15,小倉義光(黄色は加筆)

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