【第54回】2020年8月試験

【第54回】学科専門・問題3(2020年8月試験)

 ラジオゾンデを用いた高層気象観測について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の①~⑤の中から1つ選べ。

  1. (a) 高層気象観測を行う各国においては,現地時刻の9時と21時に観測を行うこととされている。

  2. (b) 気象庁では,GPSゾンデと呼ばれる観測機器を使用しており,風向・風速の観測データは,GPS信号を利用して算出されている。

  3. (c) 気象庁では,全ての気象台と海洋気象観測船で高層気象観測を行っている。

  4. (d) 気象庁のラジオゾンデによる高層気象観測の観測範囲は地上から上部成層圏までだが,稀に中間圏までラジオゾンデが到達することがある。

(a) (b) (c) (d)
答え
④ 誤 正 誤 誤
解説 (a)について
「高層気象観測を行う各国においては,現地時刻の9時と21時に観測を行うこととされている。」

これはです。

「現地時刻の9時と21時」ではなく、協定世界時(UTC :Universal Time Coordinates)が使われています。

協定世界時は「グリニッジ標準時」とほぼ等しいです。

そのためイギリスのグリニッジ天文台が基準と考えることができます。

気象観測では、イギリスの0時と12時に合わせて、世界で同時に観測が行われています。

イギリスの0時と12時は、日本標準時では9時と21時です。

解説 (b)について
「気象庁では,GPSゾンデと呼ばれる観測機器を使用しており,風向・風速の観測データは,GPS信号を利用して算出されている。」

これはです。

ラジオゾンデの観測では、「GPSゾンデ」と呼ばれる観測機器を使うことで風向・風速のデータを取得しています。

解説 (c)について
「気象庁では,全ての気象台と海洋気象観測船で高層気象観測を行っている。」

これはです。

気象台は各都道府県に1つ以上ありますが、高層気象観測を行っている気象台は限られています

高層気象観測を行っているのは、「全国16か所の気象官署+昭和基地(南極)」のみです。

ラジオゾンデによる高層気象観測実施官署

解説 (d)について
「気象庁のラジオゾンデによる高層気象観測の観測範囲は地上から上部成層圏までだが,稀に中間圏までラジオゾンデが到達することがある。」

これはです。

ラジオゾンデは中間圏には到達しません。

気象庁のラジオゾンデによる高層気象観測の観測範囲は地上から高度約30kmまでです。

高度30kmは「成層圏中部」くらいです。中間圏はだいたい高度50km以上の範囲なので、ラジオゾンデは到達できません。

(秋田地方気象台)

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