【第54回】学科専門・問題9（2020年8月試験）

「多くのポーラーロウは対流性の雲を伴い，コンマ状や渦状，台風に似た眼を伴ったらせん状の形をしている。」

これは正です。

ポーラーロウは、冬に発生する小低気圧です。

寒冷渦（寒冷低気圧）に伴って発生することが多く、海上で急発達して強風や大雪をもたらすことがあります。

ポーラーロウは以下のように見られることが多いです。

2015年3月4日の衛星画像（高知大学気象情報頁）

「寒冷渦に伴って日本海に発生することが多く，地上天気図にはメソスケールの低気圧や気圧の谷として解析されることが多い。」

これは正です。

寒冷渦（寒冷低気圧）は、偏西風が蛇行して、偏西風の流れから切り離された低気圧です。

寒冷渦は強い寒気を伴っているため、寒冷渦が日本海に移動したとき、地上（暖かい日本海）と上空（寒気を伴った寒冷渦）で気温差が生まれます。

気温差があると対流活動が起こるため、低気圧が発生します。これがポーラーロウです。

ポーラーロウは、地上天気図では、「メソスケールの低気圧（＝小さい低気圧）」や気圧の谷で解析されることが多いです。

「台風や温帯低気圧に比べて水平スケールは小さいが，しばしば強風や大雪などの悪天候を伴うので注意が必要である。」

これは正です。

(a)の衛星画像のように、ポーラーロウ周辺では対流性の雲が発生します。

さらに台風のような構造もしていて、風が強まりそうなことがわかります。

ポーラーロウは小さい現象ではありますが、急発達して強風や大雪をもたらすことがあるため注意が必要です。

「一般に，発達して眼(渦の中心の雲のない部分)を伴ったポーラーロウでは，眼の中の気温は周囲より高い。」

これは正です。

発達したポーラーロウでは、台風のように暖気核構造が見られます。

ただし過去の観測事例では、同じ"暖気核構造"といっても、ポーラーロウと台風では異なる点もあるようです。