【第52回】2019年8月試験

【第52回】学科専門・問題2(2019年8月試験)

 気象庁の気象レーダーについて述べた次の⽂(a)〜(d)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の①〜⑤の中から⼀つ選べ。

  1. (a) 気象レーダーは,発射した電波と戻ってきた電波の周波数のずれ(ドップラー効果)を利⽤して降⽔強度を観測する

  2. (b) ⽔平に発射された電波はほぼ直進するが,地表⾯が曲率をもっているため,気象レーダーからの距離が遠くなるにつれて低い⾼度の降⽔粒⼦を観測できなくなる

  3. (c) 気象レーダーから発射された電波の伝搬経路上に⼭岳があるときは,他のレーダーデータとの合成等を⾏わなければ,ほとんどの場合⼭岳の向こう側を観測できない

  4. (d) 気象レーダーで降⽔エコーが観測されていても,降⽔粒⼦が落下する途中で蒸発したり下層の⾵に流されたりして,直下の地上で降⽔が観測されないことがある。

(a) (b) (c) (d)
答え
③ 誤 正 正 正
解説 (a)について
「気象レーダーは,発射した電波と戻ってきた電波の周波数のずれ(ドップラー効果)を利⽤して降⽔強度を観測する。」

これはです。「降⽔強度」ではなく「降水域の移動」です。

気象レーダーは電波を発射して、以下の2つを観測します。
①降水強度
②降水域の移動

①は、電波を発射して、雨や雪の粒に当たり、跳ね返って戻ってくる電波の強さから雨や雪の強さを観測します。

②は、戻ってきた電波の周波数のずれ(ドップラー効果)を利用して、雨や雪の動きを観測することができます。

解説 (b)について
「⽔平に発射された電波はほぼ直進するが,地表⾯が曲率をもっているため,気象レーダーからの距離が遠くなるにつれて低い⾼度の降⽔粒⼦を観測できなくなる。」

これはです。

気象レーダーは電波がほぼ直進するため、遠くになればなるほど、地面と距離ができるようになります。そのため低い高度の雨や雪を観測できなくなります。

(情報通信研究機構「フェーズドアレイ気象レーダー の研究開発」より引用)

解説 (c)について
「気象レーダーから発射された電波の伝搬経路上に⼭岳があるときは,他のレーダーデータとの合成等を⾏わなければ,ほとんどの場合⼭岳の向こう側を観測できない。」

これはです。

気象レーダーからの電波が山にぶつかると、そこで電波が衰退してしまします。よって山の向こう側に降水粒子があっても観測できません。

気象庁HPより引用)

解説 (d)について
「気象レーダーで降⽔エコーが観測されていても,降⽔粒⼦が落下する途中で蒸発したり下層の⾵に流されたりして,直下の地上で降⽔が観測されないことがある。」

これはです。

上空と地上の間の空気が乾燥していると、上空にあった時にレーダーで観測された雨粒が途中で蒸発して、地上では雨が降らないことがあります。また、風に流されたときも地上で降水とならないことがあります。

日本気象協会HPより引用)

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