温度270Kの空気塊A〜Dの気圧と相対湿度が下の表のとおりであるとき,各空気塊の温位および相当温位の相互の関係について述べた次の⽂(a)〜(d)の中で正しいものの個数を,下記の①〜⑤の中から⼀つ選べ。
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(a) 空気塊Aの温位は,空気塊Bの温位より低い。
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(b) 空気塊Aの相当温位は,空気塊Cの温位より低い。
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(c) 空気塊Bの相当温位は,空気塊Cの相当温位より低い。
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(d) 空気塊Cの温位は,空気塊Dの温位より低い。
① | 0個 |
② | 1個 |
③ | 2個 |
④ | 3個 |
⑤ | 4個 |
まず温位と相当温位について解説します。
温位とは「空気を乾燥断熱変化で1000hPaの高度まで移動させたときの温度」です。
「乾燥断熱変化」とは「水蒸気の凝結を伴わない変化(=潜熱の放出が無い変化)」のことです。高度が1km上がるごとに温度は9.8℃減少します。
例えば高度0mを1000hPaとした場合、「高度0mにある空気A」と「高度3000m(=3km)にある空気B」のどちらが暖かいか考えると、以下のようになります。
相当温位とは「温位+潜熱の効果」です。
温位を求めるときは空気を乾燥断熱変化させますが、実際の空気は水蒸気を含んでいるため、水蒸気の凝結が起こります。この影響を加味したのが相当温位です。
これは誤です。
それぞれの空気塊の情報は以下の通りです。
・空気塊A:温度270K、気圧700hPa、相対湿度5%
・空気塊B:温度270K、気圧700hPa、相対湿度10%
温位は乾燥断熱変化(=水蒸気の凝結を伴わない変化)によって求めるため、空気塊にどれくらい水蒸気が含まれているかを表す相対湿度を考慮する必要はありません。
温度と気圧が等しいため、空気塊Aと空気塊Bの温位も等しくなります。
これは誤です。
それぞれの空気塊の情報は以下の通りです。
・空気塊A:温度270K、気圧700hPa、相対湿度5%
・空気塊C:温度270K、気圧700hPa、相対湿度20%
まず温位を考えると、(a)と同様に考えられるので、空気塊Aと空気塊Cの温位は等しくなります。
次に相当温位を考えると、「相当温位=温位+潜熱の効果」より、
⇔ 空気塊Aの相当温位 > 空気塊Aの温位
となります。
「空気塊aの温位 = 空気塊Cの温位」なので、
⇔ 空気塊Aの相当温位 > 空気塊Cの温位
となるため、「空気塊Aの相当温位は,空気塊Cの温位より低い」は誤です。
これは正です。
それぞれの空気塊の情報は以下の通りです。
・空気塊B:温度270K、気圧700hPa、相対湿度10%
・空気塊C:温度270K、気圧700hPa、相対湿度20%
まず温位を考えると、(a)と同様に考えられるので、空気塊Bと空気塊Cの温位は等しくなります。
次に相当温位を考えると「相当温位=温位+潜熱の効果」です。空気塊Bと空気塊Cは温位が等しいので、”潜熱の効果”の大きいほうが相当温位は高くなります。
潜熱の効果とは「水蒸気が凝結するときに放出される熱」なので、水蒸気が多いほうが放出される熱が多くなって、気温が上がります。
空気塊Bと空気塊Cの水蒸気量を比べると
「空気塊Bの相対湿度(10%)< 空気塊Cの相対湿度(20%)」
なので、空気塊Cのほうが水蒸気をたくさん含んでいます。
よって、
⇔ 空気塊Bの相当温位 < 空気塊Cの相当温位
となるため、「空気塊Bの相当温位は,空気塊Cの相当温位より低い」は正です。
これは誤です。
それぞれの空気塊の情報は以下の通りです。
・空気塊C:温度270K、気圧700hPa、相対湿度20%
・空気塊D:温度270K、気圧710hPa、相対湿度10%
温位は乾燥断熱変化(=水蒸気の凝結を伴わない変化)によって求めるため、空気塊にどれくらい水蒸気が含まれているかを表す相対湿度を考慮する必要はありません。よって相対湿度の情報は無視します。
温度と気圧の値から、空気塊Cと空気塊Dの温位を考えていきます。
空気塊Cは気圧700hPa、空気塊Dは気圧710hPaなので、空気塊Cのほうが高度の高い所にある空気です。2つの空気塊を1000hPaの高度まで下げたときの温度が温位です。
空気塊Cのほうが空気塊Dよりも高い所から下げるので、より圧縮する必要があります。空気は圧縮されると温度が高くなるので、空気塊Cのほうが空気塊Dよりも温位が高くなります。
イメージで考えると、空気塊Cのほうが空気塊Dよりも高い山にある空気です。
「Cの山頂で0℃の空気」と「Dの山頂で0℃の空気」を地上に下ろしてきたとき、Cのほうが気温は高くなります。