【第55回】2021年1月試験

【第55回】学科一般・問題4(2021年1月試験)

雲の中の氷晶や雪の結晶について述べた次の⽂(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a) ⼤気中の氷晶のほとんどは,−40℃前後の低温の雲の中で不純物を含まない⽔滴が凍結して⽣成される。

(b) 過冷却の雲の中で⽔滴よりも氷晶の⽅が速やかに成⻑する要因は,0℃以下では氷の表⾯に対する飽和⽔蒸気圧が⽔の表⾯に対するそれよりも⼩さいからである。

(c) 氷粒⼦が落下しながら過冷却雲粒を捕捉して成⻑する過程では,氷粒⼦の質量が増加するほど,氷粒⼦の単位時間あたりの質量増加量は減少する。

(d) 雲内で氷晶が成⻑して雪の結晶となるとき,結晶の形は,周囲の気温に依存するが空気の過飽和度には依存しない。

  (a) (b) (c) (d)
答え
④ 誤 正 誤 誤
解説 (a)について
「⼤気中の氷晶のほとんどは,−40℃前後の低温の雲の中で不純物を含まない⽔滴が凍結して⽣成される。」

これはです。

⼤気中には土壌粒子などの微粒子があるため、−40℃にならなくても氷晶(氷の粒子)がつくられます。

0℃~−40℃の大気中にも氷晶は多く存在するので、問題文は誤りです。

解説 (b)について
「過冷却の雲の中で⽔滴よりも氷晶の⽅が速やかに成⻑する要因は,0℃以下では氷の表⾯に対する飽和⽔蒸気圧が⽔の表⾯に対するそれよりも⼩さいからである。」

これはです。

水滴の成長よりも氷晶(氷粒子)の成長のほうが速いです。これは両者の飽和水蒸気圧の違いによるものです。

気温がー10℃のとき、
氷晶の飽和水蒸気圧は2.6hPa
水滴の飽和水蒸気圧は2.9hPa
です。

ある空気塊の気温がー10℃、水蒸気圧が2.7hPaだとすると、以下のようになります。

解説 (c)について
「氷粒⼦が落下しながら過冷却雲粒を捕捉して成⻑する過程では,氷粒⼦の質量が増加するほど,氷粒⼦の単位時間あたりの質量増加量は減少する。」

これはです。

氷粒⼦の質量が増加すると、落下速度が大きくなって、過冷却雲粒をたくさん捕捉するようになるため、氷粒⼦の単位時間あたりの質量増加量は増加します。

雲と雨の気象学(水野量)

解説 (d)について
「雲内で氷晶が成⻑して雪の結晶となるとき,結晶の形は,周囲の気温に依存するが空気の過飽和度には依存しない。」

これはです。

「氷晶」→「雪の結晶」に成長するとき、結晶の形は空気の過飽和度に依存します。

過飽和度によって、結晶の形は「角柱」や「さや」などになります。


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