XX年2⽉4⽇から5⽇にかけての⽇本付近における気象の解析と予想に関する以下の問いに答えよ。予想図の初期時刻は,図5(上)のみ2⽉4⽇9時(00UTC),その他はいずれも2⽉4⽇21時(12UTC)である。
問1. 図1は4⽇21時の地上天気図,図2は4⽇21時の300hPa天気図,図3は4⽇21時の気象衛星画像,図4は4⽇21時の解析図と4⽇21時を初期時刻とする12,24時間予想図,図5は4⽇9時を初期時刻とする12時間予想図と4⽇21時を初期時刻とする12,24時間予想図である。これらを⽤いて以下の問いに答えよ。
(4) 図3(上)にみられる⼆つの雲域A,B について,以下の問いに答えよ。
①雲域Aの形状,厚みおよび上/中/下層雲の別をいずれも簡潔に答えよ。また,図3(下)の⽔蒸気画像にみられるバウンダリ(明域と暗域の境界)と雲域Aとの位置関係を20字程度で述べよ。
②雲域Bの形状の特徴を20字程度で述べよ。また,厚みと上/中/下層雲の別をいずれも簡潔に答えよ。
答え
① 形状:帯状、厚み:薄い、上/中/下層雲の別:上層雲
位置関係:雲域Aの北縁はバウンダリと一致している。(20 字)
② 形状:細長く,北縁が高気圧性曲率をもつ。(17 字)
厚み:厚い、上/中/下層雲の別:上層雲
解説 ①について
図3赤外画像より雲域Aについて読み取ります。
形状:横に伸びているので「帯状」です。
厚み:雲が透けて地上の黒いところが映っている部分があるので「薄い」です。
上/中/下層雲の別:
白く映っているため輝度温度が低いことから「上層雲」です。
続いて、水蒸気画像にみられるバウンダリ(明域と暗域の境界)と雲域Aとの位置関係を見てみます。
雲域Aの北側のところにバウンダリがあります。
よって正解は「雲域Aの北縁はバウンダリと一致している。」といった感じです。
解説 ②について
図3赤外画像より雲域Bについて読み取ります。
形状:
画像より細長くて帯状であるとわかります。また弓のような形で北に膨らんでいます。ここで問1(1)の問題で、”四国の南にある低気圧が発達している”と記述されていたことを思い出します。低気圧が発達しているところで北に膨らんだ雲は「バルジ」です。
よって正解は「細長く,北縁が高気圧性曲率をもつ。」といった感じです。
バルジの説明は以下です。
前線性雲バンドが、寒気側(極側)に凸状に(高気圧性曲率を持って)膨らむ現象を「バルジ」と呼ぶ。これはトラフの接近による前線波動や低気圧の発達に対応し、下層から暖湿な気流が上昇して雲域が発達していることを示す。雲域は発達するにつれ高気圧性曲率が増加する。(
気象衛星センターHP)
ちなみに、低気圧が発達するパターンで雲の形状を答えさせる問題はよく出ると思います。本当は問題を読んでその都度しっかりと解答を考えるのがベストだと思いますが、「低気圧が発達しているパターンで雲の問題→バルジについて答えるべきだ」と事務的に解答を考えても良いと思います。
厚み:雲域Aよりもしっかりと白くなっているので「厚い」です。
上/中/下層雲の別:
白く映っているため輝度温度が低いことから「上層雲」です。