問題
XX年6月1日から2日にかけての日本付近における気象の解析と予想に関する問題です。予想図の初期時刻は、図6を除き、いずれも6月1日21時(12UTC)です。問2では、図7〜図10(12時間・24時間予想図)と図1・図2・図5・図6を用いて、トラフA、停滞前線、新たな低気圧の予想を読み取ります。




(1) トラフAと地上低気圧
①トラフAの24時間後(2日21時)の位置を解答図に実線で記入し、②12時間後にトラフAと結びついた日本海中部の地上低気圧の24時間後の位置を1度刻みで答えます。
(2) 停滞前線の予想
①850hPa面の前線の東経133°・138°における12時間後と24時間後の予想位置を緯度1度刻みで答え、②12時間後から24時間後にかけての前線の強化または弱化について、風の分布や相当温位の分布に着目して75字程度で述べます。
(3) 山陰沖と四国で降水量が多い要因
| 記号 | 要因 |
|---|---|
| ㋐ | 台風のアウターバンド |
| ㋑ | 南または西よりの下層風による暖湿気の流入 |
| ㋒ | 上層寒気の流入による成層の不安定化 |
| ㋓ | 前線面による上昇流の発生 |
| ㋔ | 地形(斜面)による上昇流の発生 |
(4) 三陸沿岸の低気圧
①この低気圧が12時間予想図(2日9時)ですでに発生しているとした場合の推定位置、②24時間後のこの低気圧に伴う地上前線を答えます。
(5) 高相当温位域の分布の変化
台風周辺の高相当温位域(342K〜345K以上)が北東方向に細長く分布するようになり、関東〜東北地方に達する予想となる理由を、トラフA・前線・低気圧の推移とそれに伴う風の変化に言及して65字程度で述べます。
答え
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(1)

② 地上低気圧の位置:北緯42°(41°)、東経138°
(2)
| 東経133° | 東経138° | |
|---|---|---|
| 12時間後(2日9時) | 北緯37°(36°) | 北緯36°(35°・37°) |
| 24時間後(2日21時) | 北緯34°(33°) | 北緯37°(36°) |
※ただし、東経138°では12時間後から24時間後にかけて南下しないこと。
② 12時間後から24時間後にかけて850hPa面の前線付近では北(または西)よりの風と南よりの風のシアー(収束、変形場)が強まり、相当温位の傾きは大きくなり、前線は強化される。
(3)
山陰沖:㋑・㋓ 四国:㋑・㋔
(4)
① 北緯37°(36°・38°)、東経134°(133°・135°)

(5)
トラフAの接近に伴い、前線上に低気圧が発生・発達し、(気圧傾度が増すことにより)前線の南側で南西風が強まり、(北上する)台風周辺の暖湿な空気が北東方向に運ばれるため。
解説
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(1) トラフAと地上低気圧
① 図9(上)で、等高度線の低緯度側への張り出しと正渦度の極大域を結んでトラフAを引きます。12時間後の朝鮮半島付近から、24時間後には日本海中部〜本州付近へと東進しています。
② 図9(下)の24時間後の地上気圧図で、日本海中部にあった低気圧は北東へ進み、北緯42°・東経138°付近に位置しています。トラフAの東側(前面)に地上低気圧が位置する、発達する低気圧の典型的な配置です。
(2)① 850hPa面の前線
問1(3)①と同じく、相当温位の集中帯の南縁(暖気側)に前線を引きます。図7で東経133°・138°の線上の位置を読むと、東経133°では12時間後37°→24時間後34°と南下し、東経138°では36°→37°とやや北上(少なくとも南下しない)します。前線の西側は南下、東側は北上するため、前線は南西〜北東の走向に変わっていきます。
(2)② 前線の強化
図7の24時間後では、前線の北側の北(西)よりの風と南側の南よりの風のシアーが強まり、風の収束や変形場によって等相当温位線が集められています。その結果、相当温位の傾き(集中度)が大きくなり、前線は強化されると判断できます。
(3) 降水量が多い要因
- 山陰沖:前線の南側では南西風によって暖湿気が流入し(㋑)、それが前線面を滑昇して上昇流が生じています(㋓)。
- 四国:南よりの下層風で暖湿気が流入し(㋑)、図2の四国山地の南斜面で強制的に持ち上げられて上昇流が生じています(㋔)。
台風のアウターバンド(㋐)や上層寒気(㋒)は、この時刻の降水の主因とは読み取れません。
(4) 三陸沿岸の低気圧
① 24時間後に三陸沿岸に予想される低気圧は、12時間後には前線上の北緯37°・東経134°付近(山陰沖)で発生していると推定できます。図7の相当温位の集中帯の折れ曲がりや、図10の700hPaの強い上昇流域、850hPaの風の低気圧性循環が手がかりになります。
② 24時間後のこの低気圧からは、東〜北東へ温暖前線、南西へ寒冷前線がのびます。図7の24時間後の相当温位の集中帯と、図10の温度傾度・上昇流域を重ねて解析します(解答例の図)。
(5) 高相当温位域が北東にのびる理由
トラフAの接近に伴って前線上で低気圧が発生・発達すると、低気圧の南東側で気圧傾度が大きくなり、南西風が強まります。この強い南西風が、北上する台風周辺の暖かく湿った空気(高相当温位の空気)を北東方向へ運ぶため、高相当温位域が台風の北東方向に細長くのび、関東〜東北地方に達すると考えられます。
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