問題
XX年6月1日から2日にかけての日本付近における気象の解析と予想に関する問題です。予想図の初期時刻は、図6を除き、いずれも6月1日21時(12UTC)です。問3では、図11(レーダーエコー合成図)、図12(アメダスによる地上実況図)、図13(名古屋と静岡の高層風時系列図)、図14(浜松の地上気象要素の時系列図)を用いて、東海地方の線状の降水帯を解析します。


(1) 線状の降水帯の速さ
図11の14時・15時の図で、降水強度20mm/h以上の領域の東端に着目し、線状の降水帯が東に進む速さを5km/h刻みで答えます。
(2) 21℃の等温線
図12の解答図に、21℃の等温線を破線で記入します。
(3) シアーラインBを挟んだ気温と風
シアーラインから50km程度の範囲について、気温の分布と風の分布の特徴をそれぞれ40字程度、55字程度で述べます。
(4) 高層風時系列図
①13〜16時の最下層(約0.3km)の風の変化から、シアーラインが名古屋・静岡を通過した時刻(20分刻み)、②13時以降、最下層〜約1.5kmの気層で寒気移流と読み取れる期間(20分刻み)を答えます。
(5) 浜松を通過した前線とシアーライン
①2回の総観スケールの前線の種類と通過時刻(10分刻み)、②シアーラインや線状の降水帯により風や気温が不連続に変化した残り2回の時刻(10分刻み)を答えます。
(6) 線状の降水帯が維持されたメカニズム
シアーライン付近では風が(①)しており、シアーラインの(②)側の(③)プールに乗り上げる形で(④)が生じて線状の降水帯が維持され、降水粒子の蒸発等により(③)プールも維持されていた。この降水帯の発生場所は温暖前線と寒冷前線の間の(⑤)であった。
(7) 土砂災害に関する防災気象情報
浜松では1時間降水量の最大値が(①)mmの(②)雨が降った。「高齢者等避難」に相当する「レベル(③)土砂災害(④)」、「避難指示」に相当する「レベル(⑤)土砂災害(⑥)」が発表される(令和8年5月から運用の新たな防災気象情報)。
答え
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(1)
50km/h(45・55)
(2)

(3)
気温:シアーラインの南東側は相対的に高温で、北西側は低温で温度傾度がやや大きい。
風:シアーラインの南東側は南よりの風が相対的に強く、北西側は西よりの風が弱く、シアーライン付近で風が収束している。
(4)
① 名古屋:13時20分、静岡:15時40分
② 名古屋:13時20分〜15時00分、静岡:17時00分〜19時40分
(5)
| 種類 | 通過時刻 | |
|---|---|---|
| 1回目 | 停滞前線(温暖前線) | 7時20分 |
| 2回目 | 寒冷前線 | 21時30分 |
② 1回目:15時00分、2回目:19時00分(19時10分)
(6)
①収束 ②北西(北・西) ③冷気 ④上昇流 ⑤暖域
(7)
①48 ②激しい ③3 ④警報 ⑤4 ⑥危険警報
解説
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(1) 線状の降水帯の移動速度
図11で浜松付近を通過する線状の降水帯について、降水強度20mm/h以上の領域の東端の位置を14時と15時で比べると、1時間で東へ約0.5〜0.6度進んでいます。北緯35度付近では経度1度≒91kmなので、移動速度は約50km/hです。
(2) 21℃の等温線
図12の2℃間隔の等温線(20℃・22℃)の間を、観測値を内挿しながら引きます。シアーラインBの北西側には21℃前後の地点が多く入り組んでいるため、21℃より高い地点と低い地点を丁寧に分けて線を引きます。
(3) シアーラインBを挟んだ気温と風
シアーラインBの南東側は22〜23℃台と相対的に高温、北西側は20〜21℃台と低温で、シアーライン付近で温度傾度がやや大きくなっています。
風は、南東側では南よりの風が相対的に強く、北西側では西よりの風が弱く、両者がシアーライン付近で収束しています。
(4)① シアーラインの通過時刻
最下層(約0.3km)の風が、南よりの風から西よりの風に変わった最初の観測時刻を読みます。名古屋は13時20分、静岡は15時40分で、シアーラインが西から東へ移動していることと整合します。
(4)② 寒気移流の期間
下層から上層に向かって風向が反時計回りに変化している(風が高度とともに反転する)とき、その気層では寒気移流と判断できます(温度風の関係)。最下層〜高度約1.5kmでこの特徴が見られる期間は、名古屋が13時20分〜15時00分、静岡が17時00分〜19時40分です。
(5) 浜松を通過した前線とシアーライン
- 7時20分:気温が上昇し、風向が南よりに変わる → 停滞前線(温暖前線)の北上・通過(暖域に入る)
- 15時00分:気温が急降下し、強い雨となる → シアーライン(線状の降水帯)の通過
- 19時00分:気温が上昇し、風速が増す → シアーライン北西側の冷気が抜け、再び暖域の空気に入る
- 21時30分:気温が下降し、風向が変わる → 寒冷前線の通過
15時と19時の変化は、総観スケールの前線ではなく、メソスケールのシアーラインや線状の降水帯によるものです。
(6) 線状の降水帯が維持されたメカニズム
シアーライン付近では風が収束しており、シアーラインの北西側にある、降水の蒸発で冷えた冷気プールに、南東側の暖湿な空気が乗り上げる形で上昇流が生じています。これにより組織的な対流雲が次々に発生・発達して線状の降水帯が維持され、その降水がさらに蒸発して冷気プールも維持される、という仕組みです。この降水帯は温暖前線と寒冷前線の間の暖域で発生しました。
(7) 土砂災害に関する防災気象情報
図14の10分間降水量の大きい時間帯から、1時間降水量の最大値は48mmと読み取れます。1時間に30mm以上50mm未満の雨は、予報用語で「激しい雨」です。
令和8年5月から運用されている新たな防災気象情報では、土砂災害について、「高齢者等避難」に相当するレベル3土砂災害警報、「避難指示」に相当するレベル4土砂災害危険警報が発表されます。
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