問題
XX年1月23日から24日にかけての日本付近における気象の解析と予想に関する問題です。予想図の初期時刻は、いずれも1月23日21時(12UTC)です。北海道の渡島半島付近と日本の南の2つの低気圧が東進して発達し、24日には関東地方で雨から雪に変わる事例が扱われています。問2では、図5・図6(500hPa高度・渦度、地上気圧・降水量・風の予想図)、図7(850hPa気温・風、700hPa鉛直流の予想図)、図8(850hPa相当温位・風の12時間予想図)と、図1・図2・図4を用いて、強風軸と前線の対応、千島近海の低気圧の構造を読み取ります。



(1) 帯状の上昇流域と強風軸
図7(上)には、長さ1000km以上の西南西から東北東にのびる帯状の上昇流域が、日本海付近、東日本の南東海上、日本の南から東の海上にかけて3列みられます。①3列の上昇流域に対応する、図5(上)から読み取れる3つの強風軸について、東経135°における高度を低い方から順に等高度線の値で答えます。②3列の上昇流域を北からⓐⓑⓒとするとき、図1の2つの前線(北側・南側)に対応する上昇流域を記号で答えます。
(2) 千島近海の低気圧
①図7(上)を用いて、低気圧中心付近の鉛直流の分布の特徴を数値を用いずに30字程度で述べます。②この地上低気圧に対応する500hPaのトラフの初期時刻(図4)の位置について、東経140度線と交わる高度を等高度線の値で答えます。③図7(上)・図8に着目して、図5(下)の千島近海の低気圧に伴う前線を、解答図(図5(下)の四角枠の範囲)に前線記号を用いて記入します(温暖前線・寒冷前線それぞれの一方の端は枠まで達しているものとします)。
答え
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(1)
① 5160m、5400m(5460m)、5640m
② 図1の北側の前線:ⓐ 図1の南側の前線:ⓒ
(2)
① 中心の北側で強い上昇流域、南西側で強い下降流域となっている。
② 5160m(5220m)
③ 低気圧の中心から温暖前線が東南東へ、寒冷前線が南へのびて南西に向きを変える(解答例の図)。

解説
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(1)① 強風軸の高度
500hPaの強風軸は、等高度線が混んでいる所(高度傾度が大きく、地衡風が強い所)に対応します。図5(上)で東経135°線に沿って等高度線の間隔を見ると、混んでいる帯が3つあり、それぞれの中心付近を通る等高度線は低い方から5160m(日本海付近)、5400m(東日本の南東海上の延長、5460mも可)、5640m(日本の南)です。
強風軸の右側(南側)の入口・左側(北側)の出口などでは上昇流が生じやすく、また強風軸は下層の前線帯(傾圧帯)の上に位置することが多いため、帯状の上昇流域と強風軸がそれぞれ対応しています。
(1)② 前線と上昇流域の対応
12時間後には、図1の北側の低気圧(渡島半島付近)に伴う前線は日本海〜北日本付近、南側の低気圧(日本の南)に伴う前線は日本の南から東の海上に位置しています。前線に沿って上昇流が生じるため、北側の前線はⓐ、南側の前線はⓒに対応します。中央のⓑは、図1の2つの前線のいずれにも対応しない、2つの前線帯の間の傾圧帯(強風軸)に伴う上昇流域と考えられます。
(2)① 低気圧中心付近の鉛直流
図7(上)で千島近海の低気圧中心付近を見ると、中心の北側には網掛けの強い上昇流域(負領域)が、南西側には強い下降流域が予想されています。発達する温帯低気圧では、前面(北〜東側)で暖気が上昇し、後面(西〜南西側)で寒気が下降する鉛直循環がみられます。これは位置エネルギーを運動エネルギーに変換して低気圧が発達している状態を示しています。
(2)② 対応する500hPaトラフ
図5(上)で千島近海の地上低気圧の西側にあたる500hPaのトラフ(正渦度の極大域を伴う)をさかのぼり、図4(初期時刻)で対応するトラフを探すと、北海道の西〜北にある正渦度の極大(233×10−6/s付近)を伴うトラフが該当します。このトラフが東経140度線と交わる所の等高度線は5160mです(5220mも可)。
(2)③ 前線の解析
850hPa面の前線は、等温線(図7上)や等相当温位線(図8)が混んでいる帯の暖気側(南側)の縁に沿って解析します。千島近海の低気圧の周辺では、
- 低気圧中心から東南東へ向かって等温線・等相当温位線が混んでいる帯があり、その南縁に沿って温暖前線を引きます。
- 低気圧中心から南へのび、途中から南西へ向きを変える集中帯があり、その東縁(暖気側)に沿って寒冷前線を引きます。図7(上)の上昇流域の分布や、図5(下)の地上の気圧の谷・風向の変化とも整合しています。
前線記号は、温暖前線は半円、寒冷前線は三角を、それぞれ前線の進行方向(暖気側)に付けます。
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