【第65回】実技2・問題1(2026年1月試験)

問題

XX年1月23日から24日にかけての日本付近における気象の解析と予想に関する問題です。予想図の初期時刻は、いずれも1月23日21時(12UTC)です。北海道の渡島半島付近と日本の南の2つの低気圧が東進して発達し、24日には関東地方で雨から雪に変わる事例が扱われています。問1では、図1(地上天気図)、図2(850hPa気温・風、700hPa鉛直流解析図)、図3(気象衛星赤外画像)、図4(500hPa高度・渦度解析図)を用いて、23日21時の気象概況と雲の特徴を読み取ります。

第65回実技2 図1 地上天気図と図2 850hPa気温・風、700hPa鉛直流解析図(1月23日21時)
第65回実技2 図3 気象衛星赤外画像と図4 500hPa高度・渦度解析図(1月23日21時)

(1) 気象概況の穴埋め

23日21時の気象概況について述べた文章の空欄①〜⑩に入る数値・語句を答えます(②③⑤は漢字、④は50刻みの整数、⑨⑩は十種雲形を漢字で)。

モンゴルには中心気圧(①)hPaの高気圧があって南東に10ノットで移動している。北海道西部の渡島半島付近には中心気圧1006hPaの低気圧があって東北東へ25ノットで進んでいる。この低気圧から(②)前線が三陸沖に、寒冷前線が山陰沖にのびている。日本の南には中心気圧1008hPaの発達中の低気圧があって、(③)警報が発表されている。この低気圧は24時間後には日本の東に達すると予想されており、予報円の直径は(④)海里である。30ノット以上の風が吹く可能性がある範囲は、低気圧の(⑤)側で広く、(⑥)海里以内となっている。北側の低気圧に伴う寒冷前線付近の輪島では、前3時間の気圧変化量は(⑦)hPa、過去天気は(⑧)。南側の低気圧に伴う寒冷前線が通過した那覇では、(⑨)と(⑩)が観測されている。

(2) 海上警報の記号

図1で記号A、Bが描かれている場所に実際に描かれている海上警報の記号を、[SW]にならって、かっこ[ ]を含む英記号で答えます。

(3) 前線面の850hPaの気温

渡島半島付近と日本の南の低気圧に伴う前線について、上空の前線面の850hPaにおける気温(低気圧中心付近)を、図2の等温線の値で答えます。

(4) 雲画像の特徴

①ⓐ破線で囲まれた領域C内の主な雲(雲列)の名称を「㋐筋状雲、㋑オープンセル、㋒クローズドセル」から選び、ⓑ枠内のうち、ⓐの雲がみられるときより大気下層の風速の鉛直シアーが大きいときに発生するものを選びます。②日本の東のCiストリークが東経152°付近で500hPa面を横切っているとき、それより東側でCiストリークの高度が500hPa面より「高い」か「低い」かを答えます。③日本の南の低気圧の中心から500km以内の雲域の特徴を、渡島半島付近の低気圧に伴う雲域と比較し、中心付近の雲の特徴、雲頂高度の高い雲の位置、バルジの有無に言及して70字程度で述べます。

答え

答えを見る

(1)

空欄答え空欄答え
①1064⑥1400
②温暖⑦−2.1
③海上暴風⑧雨
④200(150)⑨積雲
⑤南西⑩層積雲

⑨⑩は順不同です。( )内は別解として認められている値です。

(2)

記号答え
A[GW]
BFOG[W]

(3)

低気圧850hPaの気温
渡島半島付近の低気圧−9℃(−12℃)
日本の南の低気圧9℃(6℃)

(4)

① ⓐ ㋑(オープンセル) ⓑ ㋐(筋状雲)

② 高い

③ 渡島半島付近の低気圧に伴う雲域と比べ、中心付近の雲頂高度は低く、雲頂高度の高い雲は中心から離れた北側に分布しており、バルジはみられない。

解説

解説を見る

(1) 地上天気図の読み取り

  • ①:モンゴルの高気圧の中心気圧は1064hPaです。
  • ②:渡島半島付近の低気圧からは、三陸沖へ温暖前線、山陰沖へ寒冷前線がのびています。
  • ③:日本の南の低気圧の近くに[SW]があり、海上暴風警報(Storm Warning:最大風速48ノット以上)が発表されています。英文の「DEVELOPING LOW」は発達中の低気圧を意味します。
  • ④:24時間後(24日21時=241200Z)の予報円の直径を、図の緯線間隔(緯度10°=600海里、緯度1°=60海里)をものさしにして測ると、約3.3°分、すなわち約200海里です。
  • ⑤⑥:英文の「EXPECTED WINDS 30 TO 50 KT WITHIN 1400 NM OF LOW SW-SEMICIRCLE AND 700 NM ELSEWHERE」から、30ノット以上の風が吹くおそれのある範囲は南西側の半円で1400海里以内と広く、その他の側では700海里以内です。
  • ⑦⑧:輪島の実況の「−21」は前3時間の気圧変化量を0.1hPa単位で表したもので−2.1hPaです。右下の過去天気の記号「●」は雨です。
  • ⑨⑩:那覇の実況の下層雲の記号(CL=8)は、基底の高さが異なる積雲と層積雲が同時に存在することを表します。寒冷前線の通過後、寒気の流入で下層に対流雲が生じている状況です。

(2) 海上警報の記号

海上警報には、[W](海上風警報、28〜33ノット)、[GW](海上強風警報、34〜47ノット)、[SW](海上暴風警報、48ノット以上)、[TW](海上台風警報)、FOG[W](海上濃霧警報)などがあります。

  • A:黄海〜東シナ海北部は、大陸の高気圧と日本付近の低気圧の間で等圧線が混み、北西の季節風が強まっている海域です。ここには[GW](海上強風警報)が描かれています。
  • B:北海道の東の海上は、温暖前線の前面にあたり、暖かく湿った空気が冷たい海面上に流れ込むことで移流霧が発生しやすい海域です。ここにはFOG[W](海上濃霧警報)が描かれています。

(3) 前線面の850hPaの気温

前線面(転移層)は、850hPa面では等温線が混んでいる帯(温度傾度の大きい所)の暖気側の縁にあたります。図2で各低気圧の中心付近を見ると、

  • 渡島半島付近の低気圧:北海道付近で−18℃〜−6℃の等温線が南北に混んでおり、その暖気側の縁は−9℃の等温線です(−12℃も可)。
  • 日本の南の低気圧:東経140°付近、北緯30°付近の低気圧中心付近では、等温線の集中帯の暖気側の縁が9℃の等温線にあたります(6℃も可)。

同じ1月でも、北の低気圧と南の低気圧では前線面の温度が約18℃も異なり、異なる気団の境界に対応していることがわかります。

(4)① 領域Cの雲

領域Cには、輪郭がはっきりしない小さな対流雲が、中心部が雲のない(暗い)環状・多角形状に並んだオープンセルがみられます。寒気が暖かい海面上に吹き出し、海面から熱と水蒸気の供給を受けて対流が起こったときに形成される雲で、雲のない部分で下降流、周りの雲列で上昇流となっています。

下層の風速の鉛直シアーが大きいと、対流雲は下層風の方向に並んで筋状雲(ロール状の対流)となります。鉛直シアーが小さい(風が弱い)ときはセル状の対流となり、寒気の吹き出しの源から遠い所や風の弱い所でオープンセルがみられます。したがってⓑは㋐筋状雲です。

(4)② Ciストリークの高度

Ciストリークは強風軸(ジェット気流)付近の流れに沿う細長い上層雲で、空気は等温位面に沿って流れるため、等圧面を横切るように分布します。日本の東のCiストリークは南西から北東へ、すなわち寒気側(北側)へ向かってのびています。等温位面は寒気側ほど高度が高くなっている(傾いている)ため、東側(北東側)ほどCiストリークの高度も高くなります。したがって、東経152°付近で500hPa面を横切るなら、それより東では500hPa面より高いと判断できます。

(4)③ 2つの低気圧の雲域の比較

渡島半島付近の低気圧には、中心付近に白く輝く(雲頂高度の高い)雲域があり、北側へ高気圧性に膨らむバルジがみられ、発達した低気圧の特徴を示しています。

一方、日本の南の低気圧では、中心付近の雲は灰色で雲頂高度が低く、雲頂高度の高い雲は中心から離れた北側(前線に沿う雲域)に分布していて、バルジはみられません。発達中の低気圧ですが、まだ発生初期の段階にあると考えられます。解答では、①中心付近の雲、②雲頂高度の高い雲の位置、③バルジの有無の3点を、渡島半島付近の低気圧との比較の形で書くことがポイントです。

おすすめの参考書

実技試験は過去問演習が中心です。解答例と解説がそろった次の2冊が役立ちます。

備考

本記事に掲載している試験問題は、「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て使用しています。
解説は当サイト運営者が独自に作成したものであり、同センターとは一切関係ございません。
なお、本記事の内容に基づいて生じた損害等について、当サイトは責任を負いかねますのでご了承ください。