【第65回】実技2・問題3(2026年1月試験)

問題

XX年1月23日から24日にかけての日本付近における気象の解析と予想に関する問題です。予想図の初期時刻は、いずれも1月23日21時(12UTC)です。北海道の渡島半島付近と日本の南の2つの低気圧が東進して発達し、24日には関東地方で雨から雪に変わる事例が扱われています。問3では、図9(アメダス実況図・レーダーエコー合成図、24日15時・18時)、図10(水戸の地上気象要素の時系列図と記事)、図11(水戸の高層風時系列図)、図12(地形図)、図13(水戸を通る鉛直断面の予想図)と、図1・図2・図5・図6・図7を用いて、関東地方および水戸の気象の特徴を読み取ります。なお、水戸では24日21時までの前6時間に降雪量の合計が7cmとなっています。

第65回実技2 図6 500hPa高度・渦度と地上気圧・降水量・風の24時間予想図(24日21時)
第65回実技2 図9 アメダス実況図・レーダーエコー合成図(24日15時・18時)
第65回実技2 図10 水戸の地上気象要素の時系列図および記事(24日12時〜21時)
第65回実技2 図11 水戸の高層風時系列図と図12 東日本とその周辺の地形図
第65回実技2 図13 図12の太線に沿った鉛直断面の気温・鉛直流・風と湿数・風の予想図(24日15時・18時)

(1) 関東地方の降水と気象状況

①図7および問1(3)に着目して、図9の帯状の降水域が図1のどの低気圧に伴うものかを「渡島半島付近」または「日本の南」で答えます。②図9の18時の四角枠内に、993hPaの等圧線を1本破線で、気圧が993hPaより低い範囲内のシアーラインを1本太い実線で記入します。③18時のシアーラインと降水位置の位置関係、および15時における位置関係を簡潔に答えます(15時は北成分の風の先端付近にシアーラインがあるものとします)。

(2) 水戸の降水

①前線が水戸を通過した時刻を10分刻みで答え、その理由として風・気温・露点温度・気圧の変化の特徴をそれぞれ簡潔に答えます。②記事を用いて12時〜21時の降水の期間と降雪の期間を答えます。③視程が1km未満(0.5km未満を含む)となった期間を答えます。④視程の低下に関連した2つの気象要素について、視程1km未満の期間の特徴を数値を示して30字程度で述べます。⑤②の降水期間における湿数の時間変化の特徴を60字程度で述べます。

(3) 前線面より上層の温度移流

図11を用いて、17時30分における前線面より上層の温度移流の種類と、そう判断した理由を前線面付近とそれより高い層の風向に言及して50字程度で述べます。また、前線面の高度の時間変化の特徴を、最初に前線面が認められる時刻とその高度に言及して45字程度で述べます。

(4) 鉛直断面図の上昇流域・湿潤域・シアーライン

①図13(上)の975hPa面で、図9の15時・18時のシアーラインに対応する風の変化が予想される位置の経度を0.25°刻みで答えます。②18時の予想図の850〜650hPaにある3つの上昇流域A・B・C(左から)の発生要因を「㋐上空の前線面、㋑地形、㋒地上付近の強い風の収束」から1つずつ選びます。③図13(下)の18時で、B・Cのうち上昇流域と湿潤域の対応の良い方について、その対応関係を風の鉛直分布に着目して40字程度で述べます。④図13(上)の18時の拡大図に前線面を実線で記入します。

(5) 発表される可能性のある注意報

図5・図6・図10を用いて、24日9時〜21時を対象に水戸市に発表される可能性のある注意報を3つ、水戸市が海岸に面していないことに留意して答えます(図5・図6の水戸から200km以内の最大風速・最大降水量の予想値をそのまま適用)。

答え

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(1)

① 渡島半島付近の低気圧

②(解答例の図:破線が993hPaの等圧線、太い実線がシアーライン)

第65回実技2 問3(1)②の解答例 18時の993hPaの等圧線とシアーライン

③ 18時:シアーラインは降水域の南側に離れて位置する。
15時:シアーラインは降水域の南東端付近(に近いところ)に位置する。

(2)

① 時刻:16時30分

要素理由
風北東から北に変わり強くなった。
気温急速に低下を始めた。
露点温度大きく低下した。
気圧上昇率が(10分前から)大きくなった。

② 降水:16時34分〜20時39分 降雪:17時03分〜20時39分

③ 17時40分〜18時48分

④ 気温が0.5℃以下で、10分間降水量が0.5mm以上である。

⑤ 降水開始とともに17時30分まで小さくなり、その後はほぼ一定で、20時10分以降急速に大きくなり、降水は終了した。

(3)

温度移流の種類:暖気移流

理由:前線面付近の1.2kmで北東風(1.5kmで東南東風)、5kmでは強い南西風で、風が上方に向かって時計回りに変化している。

前線面の高度の時間変化:16時40分には0.9kmであるが、その後は次第に上昇し21時(20時40分)には2kmに達している。

(4)

① 15時:140.25° 18時:141.5°(141.25°)

② A:㋑(地形) B:㋐(上空の前線面) C:㋒(地上付近の強い風の収束)

③ Bのほうが湿潤域との対応が良く、南西風が上空に向かって強まる領域に対応している。

④(解答例の図)

第65回実技2 問3(4)④の解答例 18時の鉛直断面図の前線面

(5)

大雪注意報、強風注意報、風雪注意報(着氷(着雪)注意報、雷注意報)

( )内は別解として認められているものです。

解説

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(1)① 帯状の降水域の対応

問1(3)で見たとおり、渡島半島付近の低気圧に伴う前線面の850hPaの気温は−9℃前後、日本の南の低気圧に伴う前線面は9℃前後でした。図7で24日の関東地方付近を見ると、等温線の集中帯の暖気側の縁は氷点下の値で、渡島半島付近の低気圧からのびる寒冷前線(南下した前線帯)に対応しています。したがって、図9の関東北部の帯状の降水域は渡島半島付近の低気圧に伴うものです。

(1)② 等圧線とシアーラインの記入

図9(18時)の地点に付いた数字は海面気圧の下3桁(0.1hPa単位)で、例えば「930」は993.0hPa、「923」は992.3hPa、「910」は991.0hPa、「941」は994.1hPaです。993.0hPaの値を目安に、993hPaより低い地点(房総半島付近〜鹿島灘)を囲むように993hPaの等圧線を破線で記入します。

993hPaより低い範囲内では、北側の地点で北〜北東の風、南側の地点で南〜東よりの風が吹いており、両者の境界(風向が急変する所)にシアーラインを引きます。シアーラインは相模湾付近から東へのび、鹿島灘付近で北東に向きを変える形になります。

(1)③ シアーラインと降水域の位置関係

18時には、降水域は関東地方の中部〜北部(北成分の風の領域)に広がり、シアーラインはその南側に離れた所にあります。一方、15時には北成分の風の先端付近(関東平野の北東部)にシアーラインがあり、降水域の南東端付近に位置しています。北からの冷たい空気がシアーラインの北側の下層に入り込み、降水域はその冷気の上を暖かい空気が滑昇する所に分布しているため、時間とともにシアーラインが南下すると、降水域との距離が離れていきます。

(2)① 前線の通過時刻

図10で16時30分を境に次の変化がみられます。

  • 風:北東の弱い風から、北の風に変わり強くなった(矢羽根が長くなる)。
  • 気温:約8℃から急速に低下を始めた。
  • 露点温度:約3℃から約−0.5℃へ大きく低下した(乾いた寒気の流入)。
  • 気圧:15時40分頃に極小となった後上昇しており、16時30分頃から上昇率が大きくなった。

これらは寒冷前線(またはシアーラインを伴う前線)の通過を示す典型的な変化で、通過したと判断される最初の時刻は16時30分です。

(2)② 降水・降雪の期間

記事の「1634●」は16時34分に雨が始まったこと、「1703」の記号(雨と雪が混在するみぞれ)、「1745」以降の記号は雪を表し、右肩の数字は強度(0:弱、1:並、2:強)です。雪は「2039」まで続き、その後は∞(煙霧)に変わっています。21時以降の「2102」の雪は対象外なので、降水は16時34分〜20時39分、雪を含む降水(降雪)は17時03分〜20時39分です。

(2)③ 視程1km未満の期間

記事の「VIS1」は視程1km未満、「VIS0.5」は視程0.5km未満を表します。「1740VIS1」から始まり、「1843VIS1」の区間の終わりである1848まで続いているので、17時40分〜18時48分です。

(2)④ 視程の低下に関連した要素

視程1km未満の期間(17時40分〜18時48分)は、気温が0.5℃以下に下がり、10分間降水量が0.5mm以上となっている期間とほぼ一致しています。気温が低いほど降水は雪となり、強い降雪ほど視程は大きく低下します。

(2)⑤ 湿数の時間変化

湿数は気温と露点温度の差です。降水開始(16時34分)直後は、乾いた寒気の流入で湿数が大きくなっていますが、降水粒子の蒸発で空気が湿るとともに17時30分まで小さくなり、その後は気温と露点温度がほぼ重なってほぼ一定(ほぼ飽和)の状態が続きます。20時10分以降は露点温度が急低下して湿数が急速に大きくなり、降水は終了しました。

(3) 前線面より上層の温度移流

図11では、16時40分頃以降、下層に北東〜北よりの風の層(寒気)が現れ、その上端が前線面です。17時30分の前線面付近(約1.2km)は北東風、1.5kmでは東南東風、5kmでは強い南西風で、高度とともに風向が時計回り(順転)に変化しています。温度風の関係から、高さとともに風向が時計回りに変わる層では暖気移流となります。

前線面(北東風と上空の南よりの風の境界)は、最初に認められる16時40分には約0.9kmですが、その後次第に高くなり、21時(20時40分)には約2kmに達しています。地上の前線が南へ遠ざかるにつれて、水戸上空の前線面が高くなっていく様子を示しています。

(4)① 975hPa面の風の変化の位置

図13(上)の975hPa付近(地表付近)の矢羽根を見ると、15時は東経140.25°付近を境に北西側と南東側で風向が変わり、18時にはこれが東経141.5°付近(141.25°も可)まで南東へ移っています。図9でシアーラインが15時の水戸付近から18時には南東(鹿島灘付近)へ進んだことと対応しています。

(4)② 上昇流域の発生要因

  • A(東経139°付近):図12の地形の山地の風上斜面に位置し、山を越える流れによる㋑地形性の上昇流です。
  • B(東経140°付近):前線面(下層の寒気と上空の暖気の境界)の上で、南西風が前線面を滑昇することによる㋐上空の前線面の上昇流です。
  • C(東経141.5°付近):975hPaの風向が変わる所(シアーライン)の真上にあり、㋒地上付近の強い風の収束による上昇流です。

(4)③ 上昇流域と湿潤域の対応

図13(下)の18時で、湿数3℃以下の湿潤域(W)はBの上昇流域とよく対応しています。B付近では、前線面より上で南西風が上空に向かって強まっており、暖かく湿った空気が前線面上を滑昇して凝結し、湿潤域が形成されています。一方、Cの上昇流域付近は下層の収束による上昇流ですが、湿潤域との対応は相対的に悪くなっています。

(4)④ 前線面の記入

前線面は、下層の寒気側(北西側)の安定層の上端で、等温線が水平に近く寝る・混む領域の暖気側の縁にあたります。また、前線面の下では北よりの風、上では南西よりの風と、風向が変わる面でもあります。拡大図では、左上から右下へ向かって下がり、東経141.5°付近(シアーラインの位置)で地表面に達するように記入します。前線面の地表面との交点が、(4)①で求めた18時の風の変化の位置と一致する点を確認しましょう。

(5) 注意報

水戸では24日21時までの前6時間に7cmの降雪があり、気温は0℃前後で、降雪が強まると大雪注意報の対象となります。また、図5・図6では低気圧の発達に伴い水戸周辺で強い風が予想されており、雨や曇りのときは強風注意報、雪を伴うときは風雪注意報が発表される可能性があります。さらに、0℃前後で湿った雪が降るため着氷(着雪)注意報、上空の寒気に伴う対流による雷注意報も考えられます。

水戸市は海岸に面していないため、波浪注意報や高潮注意報は対象外です。

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備考

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