【第64回】学科専門・問題3(2025年8月試験)

問題

春のある日の9時の天気図と、A〜Cいずれかの地点のラジオゾンデ観測による気温・湿度・風速・風向の鉛直分布図をもとに、逆転層、圏界面、観測地点について述べた文(a)〜(c)の下線部の正誤を判断する問題です。

図は、春のある日の9時の天気図(上図)と、この天気図に示したA、B、Cのいずれかの観測点におけるラジオゾンデで観測した気温、湿度、風速、風向の鉛直分布図(下図)である。これらの鉛直分布図について述べた次の文(a)〜(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを選べ。

(a) 下図には800hPa付近に気温の逆転層がある。これは、高気圧周辺で空気が沈降し、断熱的に昇温したことで生じる沈降性の逆転層であると推定される。

(b) 下図から対流圏界面の高さを推定すると、気温の分布から80hPa付近に1つめの圏界面があり、風向風速の分布から40hPa付近に2つめの圏界面があると推定される。

(c) 鉛直分布図の観測点は、天気図に示されたA、B、Cの内、C地点である。

第64回学科専門問3 の図 春のある日9時の天気図とラジオゾンデによる気温・湿度・風速・風向の鉛直分布図
選択肢(a)(b)(c)
①正正正
②正正誤
③正誤正
④誤誤正
⑤誤誤誤

答え

答えを見る

③ a:正 b:誤 c:正

解説

解説を見る

(a)について

この記述は正しいです。気温の分布を見ると、800hPa付近で高度とともに気温が上昇する逆転層があります。同じ高度で湿度は90%以上から一気に数%まで低下しており、逆転層より上は非常に乾燥しています。

高気圧圏内では、上空の空気がゆっくり沈降して断熱圧縮により昇温し、同時に相対湿度が下がります。この沈降した暖かく乾燥した空気が、下層の湿った空気の上に重なることで沈降性逆転層ができます。「逆転層の上で急激に乾燥している」ことは、沈降性逆転層の典型的な特徴です。

(b)について

この記述は誤りです。対流圏界面は、気温減率が小さくなる(高度とともに気温がほとんど下がらなくなる、あるいは上昇に転じる)高度で決まります。図では気温が80hPa付近で約−80℃の極小となり、その上では気温が上昇しているため、80hPa付近の圏界面は気温の分布から読み取れます。

一方、40hPa付近で見られるのは、風向が西よりから東よりへ大きく変わり、風速も弱くなる変化です。これは成層圏の風系の変化であり、圏界面を示すものではありません。圏界面は気温の鉛直分布から判断するもので、風向風速の分布から2つめの圏界面を推定することはできません。

(c)について

この記述は正しいです。鉛直分布図の特徴と各地点の位置を対応させると、次のようになります。

  • 圏界面が約80hPa(高度16〜17km程度)と高く、温度も約−80℃と低い:熱帯・亜熱帯の気団の特徴であり、3地点のうち最も南に位置するCと合います。
  • 800hPaより下の下層で風向が60°前後(北東〜東北東):太平洋高気圧の南側では東よりの風が吹くため、高気圧の南に位置するCと合います。
  • 800hPa付近の明瞭な沈降性逆転層と、その上の著しい乾燥:高気圧圏内の特徴です。

A地点は低気圧から延びる前線の付近、B地点も前線の近くにあり、どちらも上空まで湿った空気や上昇流が予想され、このような沈降性逆転層や高い圏界面の特徴とは合いません。したがって観測点はC地点と判断できます。

備考

本記事に掲載している試験問題は、「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て使用しています。
解説は当サイト運営者が独自に作成したものであり、同センターとは一切関係ございません。
なお、本記事の内容に基づいて生じた損害等について、当サイトは責任を負いかねますのでご了承ください。