【第64回】学科専門・問題2(2025年8月試験)

問題

気象レーダーで観測されるエコー(シークラッタ、晴天エコー、異常伝搬、風車による偽エコー)について述べた次の文(a)〜(d)の正誤を判断する問題です。

(a) シークラッタは、海上の波しぶきなどに電波が当たって、降水のないところにエコーが現れる現象であり、強風時に発生しやすい。

(b) 二重偏波気象レーダーでは、電波を反射した物体の形状などを検出し、昆虫や鳥などによって生じる晴天時のエコーを降水と区別して除去することができる。

(c) 気象レーダーからの電波が通常の伝搬経路から外れて伝搬する、いわゆる異常伝搬の発生する具体的な気象条件として、高気圧圏内の空気の沈降や夜間の放射冷却、海陸風による温度の異なる空気の移流などが考えられる。

(d) 気象レーダーの送信波が巨大な発電用風車に当たると、風車およびその近傍の物体で散乱や反射が複数回生じる多重散乱が起き、偽エコーが発生することがある。

選択肢内容
①(a)のみ誤り
②(b)のみ誤り
③(c)のみ誤り
④(d)のみ誤り
⑤すべて正しい

答え

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⑤ すべて正しい

解説

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(a)について

この記述は正しいです。シークラッタは、海面の波や波しぶきで電波が反射されて、降水がないのにエコーとして現れるものです。風が強く海面が荒れているときほど反射が強くなるため、強風時に発生しやすく、レーダーサイト周辺の海上に現れます。

(b)について

この記述は正しいです。二重偏波気象レーダーは、水平偏波と垂直偏波の2種類の電波を用い、その受信強度の比(反射因子差)や両偏波の相関(偏波間相関係数)などから、反射した物体の形状や性質を推定できます。昆虫や鳥などの非降水エコーは、雨粒とは異なる偏波特性を示すため、降水と区別して除去することができます。

(c)について

この記述は正しいです。電波は大気の屈折率の鉛直分布に応じて曲がりながら進みます。気温の逆転層があったり、上空ほど急激に乾燥していたりすると、電波が通常より強く下向きに曲げられ(ラジオダクトなど)、地表や海面に当たって遠方の地形などがエコーとして現れることがあります。これが異常伝搬です。

逆転層を形成する気象条件として、高気圧圏内の沈降による沈降性逆転層、夜間の放射冷却による接地逆転層、海陸風による暖かい空気と冷たい空気の重なりなどが挙げられます。

(d)について

この記述は正しいです。巨大な発電用風車にレーダーの電波が当たると、風車自体からの強い反射のほか、風車と周辺の物体との間で散乱・反射が繰り返される多重散乱が起こり、風車の後方(レーダーから見て遠い側)に偽エコーが現れることがあります。回転する羽根によって、ドップラー速度にも誤差が生じます。

備考

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