問題
XX年8月14日から16日にかけての日本付近における気象の解析と予想に関する問題です。紀伊半島の南に接近した台風第XX号と、東北地方北部から日本の東にのびる停滞前線が主役で、予想図の初期時刻はいずれも8月14日21時(12UTC)です。問4では、図8(地上気圧・降水量・風12、24、36、48時間予想図)、図9(500hPa・700hPa・850hPaの48時間予想図)と図1・図6を用いて、台風の進路・速さ・中心気圧の変化と、温帯低気圧への変化の兆しを読み取ります。


(1) 台風の36時間後までの予想
図1・図6・図8を用いて、空欄①〜⑧を埋めます(①②③は16方位、④⑥は整数、⑤⑦⑧は漢字)。
台風の移動方向は、14日21時から15日9時は(①)、15日9時から21時は(②)で、15日21時から16日9時にかけては(③)となる。そして、台風の移動の速さは、15日21時から16日9時はその前の12時間に比べ約(④)ノット(⑤)くなる。また、台風の中心気圧は、本州を横断する15日9時から21時の間に(⑥)hPa上昇する予想となっている。これは、主に(⑦)の補給が減少することと、地形による(⑧)が影響するためと考えられる。
(2) 温帯低気圧への変化の兆し
図8(右下)の地上の台風の予想中心位置から概ね150海里の範囲内における、台風が温帯低気圧に変化しつつあることを示す、図9から読み取れる700hPaと850hPaの特徴を、それぞれ30字、20字程度で述べます。
答え
答えを見る
(1)
| 空欄 | 答え | 空欄 | 答え |
|---|---|---|---|
| ① | 北西(北北西) | ⑤ | 速 |
| ② | 北北西 | ⑥ | 8 |
| ③ | 北 | ⑦ | 水蒸気(潜熱) |
| ④ | 5(4、6) | ⑧ | 摩擦 |
( )内は別解として認められている値・語句です。
(2)
700hPa:中心の南〜西側が下降流となり、南側が相対的に乾燥する。
850hPa:中心の西〜北側が相対的に低温となる。
解説
解説を見る
(1) 予想中心位置を追う
図1の14日21時の中心(北緯32.7°東経136.5°、紀伊半島の南東海上)から、図8の各予想図の中心(L)を順にたどります。
- ①:15日9時(12時間予想)の中心は大阪湾付近にあり、14日21時からは北西(北北西)へ進みます。
- ②:15日21時(24時間予想)には近畿地方を縦断して若狭湾の北の日本海に達し、15日9時からは北北西へ進みます。
- ③:16日9時(36時間予想)には日本海を北上します。
- ④⑤:12時間ごとの移動距離を比べると、15日21時〜16日9時の移動距離は前の12時間より大きく、緯度で約0.5〜1°分(約50〜100km)長くなっています。12時間で約110km多く進むと約9km/h≒5ノットの差となり、約5ノット速くなります。台風が中緯度の偏西風の影響を受け始めて加速する、転向後によく見られる変化です。
- ⑥:15日9時の中心付近には4hPaごとの閉じた等圧線が多数ありますが、15日21時には内側の等圧線が2本減っており、中心気圧が約8hPa上昇(例:約989hPa→約997hPa)しています。
- ⑦⑧:台風は暖かい海面からの水蒸気(潜熱)の補給をエネルギー源としています。本州(陸上)を横断すると、この補給が減るうえ、図6のような起伏の大きな地形による摩擦で下層の風が弱まり、中心への吹き込み(収束)が増えて中心気圧が上がり、勢力が弱まります。
(2) 温帯低気圧化の兆し
台風(熱帯低気圧)は中心付近が周囲より暖かい軸対称の構造ですが、温帯低気圧に変化していく過程では、周囲の寒気・乾燥空気が流れ込み、構造が非対称になっていきます。
- 700hPa:図9(右下)の700hPa鉛直流では、48時間後の中心の南〜西側が網掛けのない下降流域となり、図9(左下)の700hPa湿数では、中心の南側が網掛け(湿数3℃以下)から外れて相対的に乾燥しています。中心の南西側から乾燥空気が巻き込む(ドライスロット)様子が見られます。
- 850hPa:図9(右下)の850hPa気温では、中心の西〜北側が相対的に低温(「C」)となり、等温線が中心付近で混み合っています。中心付近が高温の暖気核構造が崩れ、前線構造に近い温度分布になりつつあります。
おすすめの参考書
実技試験は過去問演習が中心です。解答例と解説がそろった次の2冊が役立ちます。
本記事に掲載している試験問題は、「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て使用しています。
解説は当サイト運営者が独自に作成したものであり、同センターとは一切関係ございません。
なお、本記事の内容に基づいて生じた損害等について、当サイトは責任を負いかねますのでご了承ください。

