【第64回】学科一般・問題6(2025年8月試験)

問題

北半球の緯度の異なる2つの地点の温度と風の関係について述べた次の文章の空欄(a)~(c)に入る語句の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。ただし、この2つの地点の上空では静力学平衡および地衡風平衡が成り立っているものとする。

 北半球の緯度30°の地点Aと緯度45°の地点Bにおいて、1000hPa等圧面上で風速5m/sの南風が吹いている。また、A、B両地点では1000hPaから700hPaの層内の平均温度は、いずれも東西方向に一様で南から北に向かって低くなっており、その水平温度勾配は両地点で等しい。このとき700hPa等圧面における風速は (a) 。また、地点Aと地点Bの1000hPaから700hPaの層内ではともに (b) となっており、その大きさは (c) 。

(a)(b)(c)
①地点Aの方が大きい暖気移流地点Aと地点Bで同じである
②地点Aの方が大きい暖気移流地点Aの方が大きい
③地点Aの方が大きい寒気移流地点Aと地点Bで同じである
④地点Bの方が大きい暖気移流地点Aと地点Bで同じである
⑤地点Bの方が大きい寒気移流地点Bの方が大きい

答え

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① (a) 地点Aの方が大きい (b) 暖気移流 (c) 地点Aと地点Bで同じである

解説

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「温度風」について

上空の風と地上の風の差を「温度風」といいます。実際に吹いている風ではなく、「高さによって風がどれだけ変わるか」を表したものです。

温度風の向きと決まり

温度風には、次の決まりがあります(北半球)。

  • 等温線に平行に吹く
  • 暖かい側を右に見る向きに吹く
  • 温度差が大きいほど強い
  • 緯度が低いほど強い

この問題では南が暖かく北が寒いので、温度風は西風です。1000hPaの南風(5m/s)に西風の温度風が足されて、700hPaでは南西の風になります。

(a) について:700hPaの風速はどちらが大きい?

北緯30°と北緯45°での温度風の大きさの違い

温度風の強さは、コリオリの力の効き方を表す「コリオリパラメータ f」に反比例します。f は sin(緯度) に比例します。

  • 北緯30°(地点A):sin30° = 0.5
  • 北緯45°(地点B):sin45° ≒ 0.71

温度差も気圧の範囲(1000〜700hPa)も同じなので、違いは緯度だけです。f が小さい地点Aの温度風は、地点Bの約1.4倍になります。

地上の南風はどちらも5m/sなので、温度風が大きい分、700hPaの風速は地点Aの方が大きいです。

(b) について:暖気移流?寒気移流?

1000hPaの南風は、暖かい南から寒い北へ空気を運んでいます。だから層の中は暖気移流です。

高さとともに風向が「南 → 南西」と時計回りに変わること(順転)も、暖気移流のサインです。

(c) について:暖気移流の大きさは?

温度を運ぶのは風の南北成分だけ

暖かさを運ぶのは、風のうち等温線を横切る成分(ここでは南北成分)だけです。等温線に沿う成分は、等高線に沿って歩いても高さが変わらないのと同じで、温度を運びません。

温度風は西風(東西の成分)なので、風の南北成分は上空でも5m/sのままです。南北成分も温度差も2地点で同じなので、暖気移流の大きさは地点Aと地点Bで同じです。

以上より、正解は①です。

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