【第64回】学科一般・問題1(2025年8月試験)

問題

地球大気の鉛直構造の一般的な特徴について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。

(a) 国際標準大気では、対流圏内の気温減率と温位は高さ方向に一定である。

(b) 対流圏界面の高さは、平均的には高緯度の地域より低緯度の地域のほうが高い。

(c) 成層圏のオゾンの数密度は、太陽放射に含まれる紫外線の吸収により気温が極大となる成層圏界面付近で最大になる。

(d) 中間圏では窒素分子や酸素分子が紫外線を吸収して光電離することにより、上空ほど気温が高くなっている。

(a)(b)(c)(d)
①正正誤誤
②正誤誤正
③誤正正正
④誤正誤誤
⑤誤誤正正

答え

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④ a:誤 b:正 c:誤 d:誤

解説

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(a)について

この記述は誤りです。国際標準大気では、対流圏(高度0〜11km)の気温減率は6.5℃/kmで一定とされています。前半の「気温減率が一定」は正しいのですが、「温位も一定」という部分が誤りです。

温位が高さ方向に一定となるのは、気温減率が乾燥断熱減率(約9.8℃/km)に等しい場合です。標準大気の気温減率6.5℃/kmは乾燥断熱減率より小さいため、上空ほど温位は高くなります(大気は乾燥空気に対して安定な成層です)。

(b)について

この記述は正しいです。対流圏界面の高さは、低緯度(熱帯)では約16〜17km、高緯度では約8〜10kmで、低緯度ほど高くなっています。低緯度では地表付近が暖かく対流活動が活発で、対流圏が厚くなるためです。

(c)について

この記述は誤りです。オゾンの数密度(単位体積あたりの分子数)が最大となるのは、高度約20〜25kmの成層圏下部です。一方、気温が極大となる成層圏界面は高度約50kmにあります。

成層圏界面付近ではオゾンの数密度自体は小さいものの、空気の密度がそれ以上に小さいため、オゾンが紫外線を吸収して得る加熱量は単位質量あたりで大きくなり、気温が極大になります。オゾン数密度の最大高度と気温の極大高度は一致しません。

図1 大気の構造(出典:気象庁「オゾン層とは」)

(d)について

この記述は誤りです。中間圏(高度約50〜80km)では、上空ほど気温が低くなっています。中間圏界面付近は大気中で最も気温が低い領域です。

窒素分子や酸素分子が波長の短い紫外線などを吸収して光解離・光電離することにより、上空ほど気温が高くなっているのは、中間圏の上にある熱圏の特徴です。

出典:国立環境研究所「大気の鉛直構造と気温の鉛直分布」
層高さによる気温変化主な要因
熱圏上空ほど高い窒素・酸素分子による短波長の紫外線などの吸収
中間圏上空ほど低いオゾンによる加熱が弱まる
成層圏上空ほど高いオゾンによる紫外線の吸収
対流圏上空ほど低い地表面による加熱と対流

以上より、正解は④です。

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備考

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