【第61回】学科一般・問題1（2024年1月試験）

③　正　誤　誤

「成層圏では、酸素分子は紫外線を吸収すると解離し、解離した酸素原子が酸素分子と結合してオゾンとなることで、オゾン層が形成されている。」

これは「正」です。

酸素分子が紫外線を吸収して解離する現象は「光解離」といいます。

「成層圏では、オゾンの数密度は高度が高いほど大きく、高度約50kmにある成層圏界面付近で最大となる。」

これは「誤」です。

オゾンの数密度は高度約20km付近で最大になります。オゾン量の高度分布は、オゾンゾンデによる観測結果より把握できます。

参考：オゾン層について,三宅泰雄、気象庁「オゾン量の高度分布」

「成層圏のオゾンの空間分布やその季節変動は、太陽放射の強さの時空間分布でほぼ説明できる。」

これは「誤」です。

低緯度（赤道付近）は太陽の放射が強いため、低緯度上空の成層圏ではオゾンがたくさん作られています。

低緯度の成層圏で生成されたオゾンは、成層圏の大気の流れによって中高緯度に運ばれて、下降します。

オゾンを含む空気は圧縮されるため、中高緯度の下部成層圏でオゾン量が多くなります。さらに、赤道域から中高緯度へのオゾンの輸送は冬季に最も活発となります。

よって、成層圏のオゾンの空間分布やその季節変動は、「太陽放射の強さの時空間分布」ではなく「成層圏の大気の流れ」に左右されるため、こちらの選択肢は誤りだといえます。