【第64回】学科一般・問題9(2025年8月試験)

問題

積乱雲により形成されるガストフロントについて述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを選択する問題です。

(a) ガストフロントは、積乱雲内の上昇流が強まる成長期に発生する場合が多い。

(b) 積乱雲直下からのガストフロントの到達距離は、最大で3km程度である。

(c) ガストフロントが通過すると、地上の気温と気圧はともに下降し、相対湿度は上昇する。

選択肢(a)(b)(c)
①正正正
②正誤正
③誤正誤
④誤誤正
⑤誤誤誤

答え

答えを見る

⑤ a:誤 b:誤 c:誤

解説

解説を見る

ガストフロント(突風前線)は、積乱雲から吹き降りる冷たい下降流(冷気外出流)が地表付近で水平に広がり、その先端で周囲の暖かい空気との間につくられる小規模な前線です。通過時には突風や風向の急変、気温の急降下などがみられます。

(a)について

この記述は誤りです。積乱雲の一生は、上昇流が卓越する発達期(成長期)、上昇流と下降流が共存し降水が強まる成熟期、下降流が卓越する衰弱期(減衰期)に分けられます。

ガストフロントをつくるのは、降水粒子の落下に伴う引きずりや、雨粒の蒸発による冷却で生じる下降流です。そのため、ガストフロントは下降流が発生・卓越する成熟期から衰弱期に形成される場合が多く、上昇流が主体の成長期に発生するのではありません。

(b)について

この記述は誤りです。積乱雲から流れ出した冷気は密度流として地表付近を広がっていき、ガストフロントは親雲から数十km離れた場所まで到達することがあります。大規模な積乱雲群では、さらに遠くまで達する例もあります。最大で3km程度というのは過小です。

なお、ガストフロントの先端では暖かい空気が持ち上げられるため、新たな積乱雲が発生することがあります。

(c)について

この記述は誤りです。ガストフロントの通過時には、冷たく重い空気が流れ込むため、気温は急に下降し、気圧は急に上昇します(気圧の急上昇は「プレッシャージャンプ」とも呼ばれます)。また、冷気は雨粒の蒸発によって冷やされた空気であり、気温の低下も加わって相対湿度は上昇することが一般的です。

気温の下降と相対湿度の上昇は正しいものの、「気圧が下降する」という部分が誤りです。

要素ガストフロント通過時の変化
風突風・風向の急変
気温急下降
気圧急上昇
相対湿度上昇

以上より、(a)〜(c)はすべて誤りであり、正解は⑤です。

おすすめの参考書

学科一般の内容を基礎から確認したいときは、次の2冊が役立ちます。

備考

本記事に掲載している試験問題は、「一般財団法人 気象業務支援センター」様の許可を得て使用しています。
解説は当サイト運営者が独自に作成したものであり、同センターとは一切関係ございません。
なお、本記事の内容に基づいて生じた損害等について、当サイトは責任を負いかねますのでご了承ください。