【第62回】学科一般・問題7(2024年8月試験)

図は、北半球のある緯度に沿った領域において地衡風の南風が吹いているときの850hPa面と500hPa面における風速の分布を示している。この領域における850hPa面と500hPa面との間の平均気温の分布として適切なものを、下段の図①~⑤の中から1つ選べ。ただし、850hPa面と500hPa面の風速分布の図および図①~⑤の東西方向の目盛(破線)の位置はすべての図で同じものとする。

地衡風は、「気圧傾度力にコリオリ力の影響を加味した力」です。

また、「地衡風の鉛直方向の風向・風速の違い」を温度風といいます。

問題文の図より、

・500hPa:中央ほど南風が強い(風速が大きい)

・850hPa:ほぼ一様の南風

→「上空(500hPa)の南風は中央で強く、下層(850hPa)は均一」という風速差がある、という設定だとわかります。

温度風を考えると、以下のようになります。

問題の図に加筆

各高度での5つの矢印のうち、両端の矢印(図のA)は500hPaと850hPaで同じ長さとなっています。温度風は、地衡風の鉛直シアを表すので、風向・風速ともに同じであれば温度風は0です。

左右から2番目の矢印(図のB)は、500hPaのほうが少しだけ長いです。

真ん中の矢印(図のC)は、500hPaのほうが長いです。

以上より、温度風だけ図示すると、以下のようになります。

北半球の場合、「温度風の右側は暖かい空気、温度風の左側は冷たい空気」となります。

そのため今回の問題では、東側は暖かく、西側は冷たい空気となります。

それぞれの矢印に対して、東側は暖かく、西側は冷たい空気となるので、全体で見ると、気温は西から東に向かって右肩上がりとなります。

問題の選択肢を見ると、西から東に向かって気温が右肩上がりになっているのは、②または③です。

②と③を比べると、気温の傾度に違いがあります。

問題の図に加筆

②は、矢印があった地点の両端で傾きが緩やか、真ん中で傾きが急になっています。③は②の逆パターンです。

温度風が大きいほど気温傾度も大きくなるため、今回の問題では真ん中が最も気温傾度が大きい(=傾きが急)となることから、答えは②になります。

備考

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