エルニーニョ現象およびウォーカー循環について述べた次の文 (a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①~⑤の中から1 つ選べ。なお、タヒチとダーウィンの位置は下図のとおりである。

(a) エルニーニョ現象時には、インドネシアやオーストラリア北部などの西部太平洋熱帯域で、降水量が平年に比べて少ない傾向がみられる。
(b) エルニーニョ現象時には、ダーウィンの海面気圧は通常よりも低く、タヒチの海面気圧は通常よりも高くなる傾向がある。
(c) エルニーニョ現象時には、太平洋赤道域でウォーカー循環に伴う東風が通常よりも強くなる。
(a) | (b) | (c) | |
① | 正 | 正 | 誤 |
② | 正 | 誤 | 正 |
③ | 正 | 誤 | 誤 |
④ | 誤 | 正 | 正 |
⑤ | 誤 | 誤 | 誤 |
③ a:正 b:誤 c:誤
エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、 その状態が1年程度続く現象です。
また、太平洋赤道域では、空気が地上から上層にかけて大きく循環しています。この循環を「ウォーカー循環」と呼びます。


「エルニーニョ現象時には、インドネシアやオーストラリア北部などの西部太平洋熱帯域で、降水量が平年に比べて少ない傾向がみられる。」
これは正です。
平常時は、西部太平洋熱帯域のほうで積乱雲が発生しやすくなりますが、エルニーニョ現象が発生すると積乱雲は東の方で発生しやすくなります。
そのため西部太平洋熱帯域の降水量は少なくなりやすいです。
「エルニーニョ現象時には、ダーウィンの海面気圧は通常よりも低く、タヒチの海面気圧は通常よりも高くなる傾向がある。」
これは誤です。エルニーニョ現象が起こると、ダーウィンの海面気圧は通常よりも高くなりやすいです。一方、タヒチの海面気圧は通常よりも低くなる傾向があります。
海面水温が高いと、水蒸気がたくさん蒸発するようになり、積乱雲が発生しやすくなります。
積乱雲では上昇気流が起こる(=空気が上に持ち上げられる)ため、海面の気圧は低くなります。
平常時は、ダーウィン側で積乱雲が発生しやすいため、気圧は低くなります。

エルニーニョ現象が発生すると、積乱雲の発生場所が東に移るため、タヒチ側で気圧が低くなりやすいです。

「エルニーニョ現象時には、太平洋赤道域でウォーカー循環に伴う東風が通常よりも強くなる。」
これは誤です。
エルニーニョ現象が発生すると、ウォーカー循環に伴う東風は通常よりも弱くなります。
東風が弱まるため、暖かい海水が東に広がり、エルニーニョ現象が起きています。
ちなみに、東風が強くなるのは、ラニーニャ現象のときです。