放射の基礎【大気における放射】

放射とは

放射とは、物体が電磁波の形でエネルギーを放出(または吸収)する現象です。

電磁波には、可視光線、赤外線、紫外線、X線などが含まれます。

地球で重要な「放射」の2つの種類

種類主な発生源波長特徴
☀️ 太陽放射太陽短波(約0.2~4μm)主に可視光・紫外線・近赤外線
🌍 地球放射地球の地表・大気長波(約4~100μm)赤外線が中心

地球の放射は、ほとんどが波長の長い赤外線なので「長波放射」と呼ばれます。

太陽の放射は、波長の短いX線や紫外線を含んでいるため「短波放射」と呼ばれます。

放射平衡

地球は太陽から短波放射を吸収し、地球自身は長波放射で宇宙へ放出しています。この入ってくるエネルギーと出ていくエネルギーが釣り合っている状態を「放射平衡」と呼びます。

なお、地球から出ていく長波放射は、大気中の温室効果ガス(CO₂, H₂O など)によって一部吸収され、再放射されます。これが温室効果です。

引用:原子力百科事典(国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構)

放射の基本法則

すべての物体は放射する

温度が0 K(絶対零度)以上のすべての物体は、電磁波を放出します。

■黒体

入射されたエネルギーをすべて吸収する仮想的な物体。地球や太陽はほぼ黒体とみなされることが多い。

■放射強度

放射されるエネルギーがどのくらい強いかを数値で示したものが、放射強度です。。

黒体から放射される電磁波の波長と放射強度は、その黒体の温度だけで決まっています。これをプランクの法則と呼んでいます。

(新 百万人の天気教室 (白木正親、成山堂書店)、P41)

ステファン・ボルツマンの法則

プランクの法則の図で、すべての波長における放射エネルギーを合算すると、全エネルギーを求めることができます。この全エネルギーと温度の間には、以下の式が成り立ちます。これをステファン・ボルツマンの法則と呼んでいます。

この法則は「黒体放射の放射強度Iは温度の4乗に比例する」ということを示しています。

ウィーンの変位測

黒体の温度と、放射エネルギーが最も強くなる時の波長との間には、以下の式が成り立ちます。これをウィーンの変位則と呼んでいます。

アルベド

アルベドは、「太陽から地球に入射するエネルギー」を「地球で反射して出ていくエネルギー」で割った値です。

例えば、太陽から地球に入射するエネルギーを100、地球で反射して出ていくエネルギーを30とすると、アルベドは0.3になります。

アルベドは地面の状態(草・砂・雪など)によって数値が変わります。雪や氷は反射率が高いのでアルベドが⼤きいです。

物体・地表面アルベドの値の目安特徴
❄️ 新雪0.8〜0.9非常によく反射する(白くて明るい)
🌫️ 雲0.3〜0.8雲の種類や厚さによる
🏜️ 砂漠0.3〜0.4明るめでやや反射率高い
🌲 森林・草地0.1〜0.25比較的暗く、吸収が多い
🌊 海面0.05〜0.1非常にアルベドが低い、特に太陽が高いとき
🛣 アスファルト・黒土0.05〜0.15かなり暗い、吸収されやすい

アルベドが高いほど 、太陽光が反射され、冷却効果が生まれやすいです。

アルベドが低いほど 、太陽光を吸収して、温暖化傾向になります。

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