【第53回】2020年1月試験

【第53回】学科一般・問題8(2020年1月試験)

 図は,複数の降水セルから構成されるメソ対流系の移動を模式的に説明したものである。この図に関する次の文章の空欄(a)~(e)に入る適切な語句の組み合わせを,下記の ①~⑤の中から1つ選べ。

 図の太実線の楕円はある時間間隔で描いた(a)のメソ対流系を表し,細実線の楕円は個々の降水セルを示している。図の左上の矢印のVPは対流圏(b)の風を,VSは対流圏(c)の風を表している。個々の降水セルは対流圏(b)の風の方向に移動し,一方,(d)で降水セルが消滅し,(e)で新しい降水セルが発生するため,このメソ対流系全体は白い矢印の方向に移動する。

  (a) (b) (c) (d) (e)
マルチセル型 中層 下層 北端 南端
マルチセル型 下層 中層 南端 北端
マルチセル型 下層 中層 北端 南端
スーパーセル型 下層 中層 南端 北端
スーパーセル型 中層 下層 北端 南端
答え
① マルチセル型 中層 下層 北端 南端
解説 (a)について
「図の太実線の楕円はある時間間隔で描いた(a)のメソ対流系を表し,細実線の楕円は個々の降水セルを示している。」

これはマルチセル型が正解です。

個々の降水セル(積乱雲)は、1個だと局地的に短時間(30分~1時間程度)の雷雨をもたらします。(例、夏の夕立)

複数の積乱雲が組織化すると、1個の積乱雲が消滅する間に次の積乱雲が発生・発達し、長時間の雷雨をもたらします。(例、線状降水帯)

ちなみに、スーパーセル型とは、1つの巨大な積乱雲です。アメリカでトルネードを引き起こすような雲です。

解説 (b)(c)について
「図の左上の矢印のVPは対流圏(b)の風を,VSは対流圏(c)の風を表している。」

VPは降水セルを移動させる風ですが、積乱雲は中層の風によって移動します。
そのため(b)は中層です。選択肢より、(c)は下層になります。

解説 (d)(e)について
「個々の降水セルは対流圏(b)の風の方向に移動し,一方,(d)で降水セルが消滅し,(e)で新しい降水セルが発生するため,このメソ対流系全体は白い矢印の方向に移動する。」

対流圏下層の風(VS)の風向は南南東です。南南東の風が吹いているところに、前面にある積乱雲から吹き出す風がぶつかって、新しい降水セルが発生します。

よって新しい降水セルが発生するのは南端なので、(e)は南端です。選択肢より、(d)は北端になります。

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