【第52回】学科専門・問題13(2019年8月試験)

 A市において,⼤⾬のため河川の⽔位が上昇し,次の⽂(a)〜(c)の状況となったときに発表される洪⽔警報または注意報として正しいものを,下記の①〜⑤の中から⼀つ選べ。ただし,A市の洪⽔警報・注意報の発表基準は表のとおりである。

(a)2時間後に,A市のM川流域で,流域⾬量指数が20に達することが予想され,その後も流域⾬量指数が20〜25で推移する予想となっている。

(b) 2時間後に,A市で表⾯⾬量指数が25となり,A市のM川流域で流域⾬量指数が30となる予想となっている。

(c) P川のQ橋における⽔位予測から「P川氾濫警戒情報」が発表された。

   (a)     (b)     (c)
① 洪⽔警報  洪⽔警報  洪⽔注意報
② 洪⽔警報  洪⽔注意報 洪⽔注意報
③ 洪⽔注意報 洪⽔警報  洪⽔注意報
④ 洪⽔注意報 洪⽔警報  洪⽔警報
⑤ 洪⽔注意報 洪⽔注意報 洪⽔警報

答え
④ 洪⽔注意報 洪⽔警報  洪⽔警報
解説 洪水注意報・警報について
洪水注意報・警報は、河川の上流域での大雨や融雪によって、下流で生じる増水により洪水害が発生するおそれがあると予想したときに発表されます。
「河川の増水や堤防の損傷、これらによる浸水害」の場合は注意報、「河川の増水・氾濫や堤防の損傷・決壊、これらによる重大な浸水害」の場合は警報です。(参考:気象庁HP
 
洪水注意報・警報の発表基準には3つの指数があります。この3つの指数のいずれかに達する予想となった場合に、洪水注意報・警報が発表されます。
①流域雨量指数基準
②複合基準(表面雨量指数と流域雨量指数の組み合わせによる基準値)
③指定河川洪水予報による基準
 
①流域雨量指数基準
流域雨量指数とは、河川の上流域に降った雨により、どれだけ下流の対象地点の洪水危険度が高まるかを把握するための指標です。
 
降った雨は、地中に染み込んで地下水となったり、地表面を流れたりして河川に流れ込みます。しかし都市域では地面がコンクリートで覆われているため、ほとんどが地表面を流れます。地表面が自然の土かアスファルトか、雨水が浸み込みやすい地質かどうかによって、浸透や流出の仕方が変わります。その土地の状態を考慮して、降った雨が河川に流出する様子をモデル化した「タンクモデル」を使用することで流域雨量指数を計算します。
②複合基準(表面雨量指数と流域雨量指数の組み合わせによる基準値)
表面雨量指数とは、短時間強雨による浸水危険度の高まりを把握するための指標です。降った雨が地表面にどれだけ溜まっているかを、タンクモデルを用いて数値化したものです。

気象庁HPの図を加工)

③指定河川洪水予報による基準(参考:気象庁HP
指定河川洪水予報とは、あらかじめ指定した河川について、区間を決めて水位または流量を示した洪水の予報です。指定河川洪水予報に基づいて洪水注意報・警報が発表されることもあります。
 
指定河川洪水予報には4つの種類があります。
(1)氾濫注意情報(洪水注意報&警戒レベル2に相当)
(2)氾濫警戒情報(洪水警報&警戒レベル3に相当)
(3)氾濫危険情報(洪水警報&警戒レベル4に相当)
(4)氾濫発生情報(洪水警報&警戒レベル5に相当)
解説 (a)について
「2時間後に,A市のM川流域で,流域⾬量指数が20に達することが予想され,その後も流域⾬量指数が20〜25で推移する予想となっている。」
 
「A市の洪水警報・注意報の発表基準」より、A市では流域⾬量指数が30に達すると予想される場合に洪水警報が発表されます。流域⾬量指数が20〜25で推移する場合は洪水注意報です。
解説 (b)について
「2時間後に,A市で表⾯⾬量指数が25となり,A市のM川流域で流域⾬量指数が30となる予想となっている。」
 
「A市の洪水警報・注意報の発表基準」より、警報の複合基準は設定されていません。流域⾬量指数基準では「M川流域⾬量指数=30」となっています。(b)ではM川流域で流域⾬量指数が30となる予想とあるので、表⾯⾬量指数に関わらず洪水警報が発表されます。
解説 (c)について
「P川のQ橋における⽔位予測から「P川氾濫警戒情報」が発表された。」
 
P川は「指定河川洪水予報による基準」の対象となる川です。「氾濫警戒情報」は洪水警報に相当する情報なので、洪水警報が発表されます。

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